夏空の星の物語

織姫と彦星に願うこと

会えないことを強く望み

心に偽りの蓋をする

そのくせ現実になったら悲しいくせに

意地を張ってしまう

親の言葉を聞かず意固地になった織り姫と彦星のように



届かないなら、会えない方が良いと思い続けていた。
だから…避けるように精ちゃんから逃げ回っていた。

そんな私を知ってか…意地悪で優しい幼馴染み殿は…あえて気が付かないふりをしてくれていた。
この後のツケの支払いが大きくなりそうだけど…それでも私につき合ってくれた優しい精ちゃん。


微妙だけど平和と呼べる時間がゆるゆると過ぎていった。
夏が終わり秋が来て…そして冬。
そんな風に季節が移りゆく…当たり前ののように過ぎて…この微妙な関係も過ぎる筈だった。
それなのに…。

神様は意地悪だった。

あんなに元気で強い精ちゃん。
テニスも強い…精神的にも強い私の自慢の幼馴染み。
そんな病と無縁な…そんな彼が…、病に冒された。

予兆なんて無かったらしい。
普通に部活をしている最中に、突然倒れたと聞いた。
晴天の霹靂とはこの事だった。

けれど線引きをしていた所為で、私は精ちゃんの一大事に気が付く事なんてなかった。

凄く気が付けなかった…小さな事で線引きをしていた、自分に苛立ちを覚えた。
近くに居てもきっと何も出来なかったけれど。
真田君達に迷惑をかけていたかもしれないけれど…。
居なかった現実よりも…きっと後悔は少なかったと思う。

こんな事は過ぎた事を嘆く言葉だって十分分かっている。
零れた水が二度と戻らない様に…時間は巻き戻る事は無いのだから。

行けなかった事の後悔…意地を張っていた事の後悔。
行ったとしても生まれる後悔。
結局弱いから私は、どちらの選択をとってもウジウジして後悔したけれど。

それでも、今は自分の不甲斐なさに呆れてしまう。

だからこそ願う。
どうか…どうか。
私の様に後悔しないで欲しい。
例え超えることが無理と思っても…渡るすべを諦めないで。

心から思うその想い…。
織り姫に…彦星に…そう言いながら…恐らく自分に言い聞かせたい言葉。
だけど弱い私は…思うことしか出来ないけれど。



2008.8.4. FROM:Koumi Sunohara
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