突 然 の 夕 立 |
−そして出会いもまた…− |
サーッと雨が真っ直ぐにアスファルトの大地に降り注ぐ。
時期としては台風一家上陸の季節で…梅雨という日本特有の季節。
まぁそう言う訳で雨が続いているのだけど。
雨の日は憂鬱な気持ちになる。
傘をさしていたって、アスファルトで跳ねた雨水がズボンの裾にかかったりするし、水たまりの水を車によってかけられたりもする。
それに風なんて吹いた日には、傘は意味のない物と化し…あっという間の濡れ鼠。
紫陽花が雨に濡れる様は風情もあり、日差しばかり浴び続けた植物達への恵みの雨で…雨上がりの緑は美しいと思う。
後北国と違って雨が多少なりともなければ、水不足を生む訳だから有り難いのだろう。水不足に断水を余儀なくされるよりは断然良いに決まっているけれど。
毎日毎日…雨ばかりだと流石に健康優良児である私だって、気落ちだってする。
何せ私は霊長類ヒト科の切原瑠姫…蛙では無いのだから。
兎も角こんな日は家から出ないか、車で移動すれば雨にもさほど気にする事無く過ごせる。
だが世の中はそうそう巧く機能している訳では無く、こんな日だからこそ用事が出来たりするのである。しかも…頼みの綱の車が使えなかったりと言うオプション付きで。
車検に出しているわけでも無いけれど、本当に運が悪く母君が車を使用していた。
私自身もこんな日に出掛けるのも勘弁したいが、朝は澄み切った日本晴れだったのだから…予想もつかないのは仕方がない事
学校に行って…軽く買い物に行って…ぼんやり街を散策していたら…突然の夕立。
ハッキリ言って運がない。
傘は常に鞄に折りたたみを携帯しているのだから、別段問題もないけれど…強く打つ雨にはウンザリして、私は雨宿りをする事にした。
そう…それが今の現状である。
(はぁ〜…上手い具合に休みの店の軒下を発見したけど…どうせなら喫茶店とかお茶するところに入れればソレにこしたことは無かったのになぁ〜)
少しだけ我が儘な思いを浮かべながら、私は雨がアスファルトを打つ音を聞いた。
はたしてどれ程そうしていただろうか…。
雨脚は少しだけ穏やかになり、何とか傘をさして歩いても差し障り無いというまで落ち着いた。
(さて…そろそろ行こうかな)
空から落ちる水の強さを見ながら、私はそう思い動き出そうとした。
するとどうだろう?不意に感じる視線に今更ながら気がついた。
軒下の隅の方で、まるで猫が雨宿りをするように小さく身を縮こまらせたシルエットが見えた。
我が弟赤也も気まぐれな猫気質な気がするけれど、実際は犬ぽかったりする。
それに比べるとこの少年は完全に猫の様な雰囲気を持つ少年だと感じた。
しかも少年は…赤也ほどでは無いが少々癖毛な私の髪を凝視しているようだった。
(何だ…私の頭に何か付いているのか?はたまた…彼にしか見えない何かが見えているのだろうか?)
不意に浮かぶ思い。だがたまたま、私の頭上に興味をそそられる何かがあったのかもしれないと思う事にした。
自分を見ているとまで思える程私は自意識過剰ではないので。
それでも少年の視線は止むことは無く、此方を見るものだから私も思わず少年を見ることにした。
Next→後編
2005.9.30. From:Koumi Sunohara
お題置き場 | 後編へ | 夢置き場 |