毒蛇とマムシの華麗なる戦い
巻き込まれた他者
現在の気温20℃弱。
天気は晴れ…寧ろ快晴である。
湿度だって適度で、過ごしやすい日であり環境。
本日も平和で、のびのびとした学校生活が営まれる。
その…はずなのだが…ココ武蔵森中等部2年のとある教室の周りだけ…何だか空気が澱んでいた。
“異世界に来たのか?”はたまた“目を開ければそこは、雪景色だった”と言う並に、空気自体が何か違い…冷気も漂いそう。
(…今日天気良いのにな〜…何でココだけ薄暗いんだ?)
自分の教室に向かう為に廊下を歩いていたサッカー部エースストライカー藤代誠二は、空間の歪みでも起きたのか?と思わせる程澱んでる教室を見て、素直にそう心の中で思った。
(って言うより…薄暗い以前に…異世界に来たぞ!!って感じだよな〜)
割と藤代は冷静に、この事を観察する。かなり大物である…流石武蔵森レギュラーと言ったところだろうか…。
その怪しげな空気を漂わす教室の前では…。
教室に入るに入れない生徒と、怪しい空気に集まった野次馬でごった返していた。
しかし大半の生徒は、この漂う空気に固まっている。
さしずめメドーゥサに魅入られたかのように…。
そんな生徒達を横目に、藤代は何とも言えない気持ちで見ていた。
(う〜ん。野次馬すら凍り付いているし…入るに入れないって連中ばっか…気の毒やら…状況が解らなくて…気になるやら…複雑)
腕を組んで少し難しい顔をしてみる藤代であたった。
(でもな〜何で入らね〜んだ?…別に、魔物でも居る訳じゃねーんだし)
藤代の頭の中で、疑問が1つ浮かび上がる。
(この澱みが原因ったて…そもそも原因って何なんだ?うーん気になる)
好奇心に負けた藤代は、思わず近くにいた生徒に声をかけ事の次第を聞いた。
「そんなに…気になるなら、見れば…後悔しても良いならだけど…でも解ると思うけど」
歯切れ悪そうに1人の生徒が、藤代に言う。
(見れば解る?…後悔?…知ってるんなら…教えてくれても良いのにな〜)
生徒の答えに藤代はそんな事を思う。
が元来、面白いこと好きの血が騒ぐのか…藤代は生徒の忠告を無視して、教室のドアへと向かう。
ソローッ。
教室のドアの隙間に顔を突っ込む藤代。
(別段…何もなさそうだけど…何に怯えてんだ…彼奴等)
たいして普通の教室と変わらない事に、藤代は首を傾げる。
キョロキョロ。
藤代は、何か有るかと思い目だけ器用に動かして教室の中を慎重に観察する。
その時…。
バチバチバチ。
もの凄い音と、一瞬目映い光が巻き起こる。
放電か?と思わせるほどの音と光。
(?…静電気…?何だ??)
かなり挙動不審に藤代は、辺りを確認する。
が…。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーッ。
その音は藤代の周りでどんどんと、大きくなっていく。
というより寧ろ、藤代に近づいている感じだった。
「うわぁ〜何だ?近づいて来るぞ!!落ち着け!!幻聴だ!幻覚だ!!…うわぁ〜の…飲み込まれる〜っ」
突然何を思ったのか、芝居をうつ藤代。
どうやら…場を和ませる為の藤代なりの作戦だったらしい。
サーッ。
嗚呼無情とはこの事か…無反応。
ココでRPGなら[観客は一斉に引いた]とか[周りの人々は逃げ出した]と出てくるであろう。
そのくらい周りの生徒達は、藤代の1人芝居に呆れ返っていた。
((お前が、落ち着けよ))
そんな気持ちで、さぞ胸をいっぱいにしていた事だろう。
笑いの1つもない。
((つーか…寧ろ、憎悪が増した気が…澱みMAX…渦巻いてるし…何かが))
その場に居る傍観者達は、藤代を心の中でツッコム。
「俺って…」
落ち込む藤代。
とそこへ…藤代の耳に良く聞き慣れた人物の声が入る。
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2001.11.9 From:koumi sunohara