求める先に |
−望むは真実見抜く眼力− |
最近の男共は軟弱で軟派な奴らが増えていると思う。
そんな事を女友達のに言ったら、呆れた顔を私に返してきた。
私はソレを不服に思い、ブーたれた表情でを見た。
(何だよ〜呆れる事無いだろうに…。事実そう思ったから言ったのにさ…呆れるなんてさ)
口には出さず、心の中でブチブチ文句を綴ってみたり。
そんな事を心の中でしている何て知らないはず…の、は私の顔を見て益々呆れ顔をして、肩を竦めていた。
きっとブーたれたのに呆れているのだろうけど。
ともかくはヤレヤレと溜息を一つ吐くと、私に説明し始めたのだった。
「の気持ちは分からないでも無いけどね。だけど、の幼馴染みの真田君を基準に出したとしたら…誰だって軟弱で軟派に見えるじゃないの?」
は、私の目をまっすぐ見るとそう言った。
私は、の言葉をききながら(確かに、弦さんは私の知る中でも男気のある人間だけど)とか思った。
ちなみに余談で有るが、テニス部の副部長殿の真田弦一郎氏もとい弦さんは…私コトの幼馴染みなのだ。
まぁともかく、私はに反論すべく口を開いた。
「うーん。確かにソレを基準にしたら…世の野郎共は腑抜けで論外になるだろうけど」
“うむ”と少し唸り…弦さんを基準版で考えながら、私は言葉を並べてゆく。
「そう言うモノを抜きにしても、最近の若造は軟弱だと思うけどね」
考えても結局答えは同じで、私は結論のように言葉をに述べる。
するとも少し悩んだ表情で言葉を返してきた。
「そうかね…。まぁ今のこのご時世を考えると、昔からの日本男児を求めるのはキツイかもしれないよ。第一ちゃぶ台返しとかされたら…それこそマサにムカツクけどな」
“だったらどうよ?”と付け加えてが言う。
その言葉に、私は少し思案しながら言葉を紡ぐ。
「たしかに理不尽に怒ったり。“黙って俺についてこい!”な男は引くけどね…だけどね…」
私は一旦に返す言葉を切って、小さく深呼吸を繰り返してから言葉の続きを口にした。
「だからと言って…ガタイの良い大の男が…くそ重たい荷物を持たず…身長も低い女の子に荷物を持たせ…くっちゃべってる…そんな奴らが“軟弱&軟派”じゃ無かったら…何だと言う?駄目男か!!」
思わず、最後の方はエキサイティング…呼吸も乱れ…無論髪も乱れてる。
そんな私の叫びににた、言葉には小さく肩を竦めてから言葉を紡いできた。
「確かに駄目男だねソレ。男に五月蠅いとか以前の問題じゃ無いよねソレ…確かに最近の男子はそういう輩が多いわ」
何か自身にも思い当たる事が有ったのか、先程より私よりの言葉に変わってきた。
その事に、私は内心(よし…同士一人ゲットじゃ!)などと思いつつ、の言葉に私はウンウンと頷いたのだった。
そんなこんなな会話をとして、その後しっかり私の言葉遣いや…態度などに対してもしっかり釘をさされた。
男らしい…男気を語る前に、自分も少しは女としての自覚を持てとの事だ。
まぁ…言われてる事にも間違いは無いので、私は波風を立てぬように取りあえずの言葉に頷いて話を丸く収めたのだった。
と私が、デスカッション(?)を繰り広げてからしばらく経ったある日。
私は、同じクラスの…紳士という呼び名を持つ柳生君と二人で日直の仕事をする事になった。
黒板を消したり日誌を書いたり、滞りなく進む仕事。
そうこうしてる内に、仕事は最後になっている。
その最後の仕事というのが、いままでの事務的なものでは無く…肉体労働だった。
段ボール箱に入った書類などを運ぶといったもの。
私はパートナーである柳生君をチラリと見やり、小さく溜息を吐いた。
(紳士だしな…。あまり肉体労働は期待できないよな〜きっと…)
そんな思いをこっそり抱き、私は制服を腕まくりして気合いを入れる。
そんな時だった…。
「さんソレ重いでしょ?。私がソチラを持ちますので…貴女はこの軽い方をどうぞ」
さりげなく私が抱えた段ボールを柳生君が持ち、見るからに軽そうなポスターの束を指さした。
私は突然の…しかも見るからに肉体労働に向いてなさそうな柳生君との接点が見いだせず思わず動きが止まった。
急に動きの止めた私に、柳生君が目ざとく見つけた。
「おや?少し多いですか?何でしたら少しずつで構いませんよさん」
何を勘違いしたのか…そんな言葉をかけられた。
私は妙に心配をする柳生君に心配ないと示す為に言葉を紡ぐ。
「ああ別に多くないよ。この程度なら楽々持てるから大丈夫だよ柳生君」
手をパタパタと振って私はそう口にする。
彼はそんな私を見て少し考えるようなポーズをとってから、言葉を紡いだ。
「そうですか…なら良いのですが。何か悩み事ですか?」
不意にかけられた柳生君の言葉に私は困惑するしか無く黙ったまま。
答えに困る私に彼は表情の読みにくいままで言葉を続けるように口にしてきた。
「それとも。私がこれらを運べるのかと…ご心配と言った所でしょうか」
(マズイ…顔に出てか?)
思わず焦る私を余所に、柳生君はさして気にした様子もなく言葉を紡いでくる。
「顔には出てませんよ、安心して下さい。まぁよく言われることですから、そう思っただけですよ」
優雅な微笑みを浮かべる柳生君に私は、ますます言葉を失う。
だけど彼は構わず言葉を続けた。
「一応私もさんの幼馴染みである真田君の居るテニス部レギュラーですからね。この位持てない方が問題ですよ」
穏やかな口調で柳生君は言う。
そう言われて、私はやっとこの物腰柔らかなクラスメートが弦さんと同じ部活で有る事を思い出す。
(確かに細身で有るけどしっかりした感じだもんな〜。言われてみれば結構筋肉付いてるか…)
あまり不躾に見るのも悪いと思った私は、チラリと柳生君をみやり言葉を紡ぐ。
「そう言えばそうだね。柳生君が物腰が柔らかだから…頭から抜け落ちていたよ」
「その言葉に純粋に喜んで良いのか少し微妙ですね」
私の言葉に柳生君は本当に困惑気味の表情を浮かべていた。
「あ…えっとゴメン。良い言葉が浮かばない…悪意は無いだけど」
私は頭を軽く掻きながら柳生君にそう言うと、彼は柔らかく笑った。
「分かってますよ。さんがそんな事を軽々しく言う人では無いと言う事わ」
「そう?…言うかも知れないよ」
「それは無いと思いますよ」
何の根拠が有るのか、柳生君はそんな風にハッキリとした口調で返した。
「だってさんは曲がった事が嫌いでしょうし。第一言うなら、そんな風に人を気遣ったりしませんからね」
などと言ってくる始末。
話していて私は、人は先入観や見た目だけで判断していけないのだと痛感させられる思いだった。
(この人はもの事を見極める事の出来る確かな眼を持っている人なんだろうなぁ〜)
自分でも欲しいと思うそんな眼力を…このクラスメートが持っているかもしれないと思っただけで…私の中の知的探求心のパロメーターは一気に膨れあがった。
だからかもしれない…私の口は本能のままに言葉を紡ぎ出したのは…。
「柳生君は物事を見極める眼力の持ち主何だね」
勝手に出てきた私の言葉に自分でも驚いたが、言われた彼自身も驚いたようで…少し目を丸くした。
そして…。
「残念ながら私は、その貴方の言う素晴らしい目の持ち主では無いんです。でも…私も切に思いますよ…そんな目に慣れれば良いと思いますけどね」
「だったらさ。とりあえず…お互いに高め合える…そんな間柄になれないかな?」
不意に紡ぐ私の唐突の言葉に、柳生君は少し驚いた顔をした。
無理も無いだろう…下手をすれば変わった告白と取られても仕方がない。
だから、私は言葉に補足を付けるためにもう一度言葉を紡ぎ出した。
「彼氏とか…彼女とか…恋人とは違うけど。ああ…そうだ。同じモノを探し求める同士。友達って言うか…そう同士に…」
反らさず真っ直ぐ柳生君を見ながら言えば、彼は少し考えてから私の言葉に返答を寄こす。
「本当に貴女は…不思議な人ですね。竹を割ったような性格をしているのかと思えば…色々な視線から物事を見てる」
そう言って柳生君も又、言葉を一旦切って…納得したように言葉を続けた。
「そうですね。そんな関係も有っても良いのかもしれませんね…時間は沢山有るのですから…」
柳生君のそんな返事に私は「じゃ…よろしくね」と笑って返す。
彼も又、「こちらこそ」と短く返した。
こうして私達は、一風変わった『同士』といった間柄が成立し…始まろうとしている。
私達の求めるモノは…。
そう…もの事を見極める事の出来る確かな眼力。
今はまだ見誤る事も有るけれど。
発展途上での段階だから…焦らずに見極めていきたいと思う。
同じ様に、見極めたいと言ってくれた柳生君と共に…。
END
2004.7.16. From:Koumi Sunohara
★後書き+言い訳★ 以外に前振りが長くて、本人の予想を越えた長さになりました。 小話程度だったんですけどね…分からないものですね。 相変わらず柳生さんのキャラが掴めてはいませんが(汗) 楽しんで戴けたなら幸いです。 こんな所まで読んで下さり有り難う御座いました。 機会が有りましたら、おつき合い戴けると嬉しいです。 |