聖夜と魔法と日常と  


クリスマス色の強い街並み


BGMクリスマス関連のモノが流れ


大きなお祭りでも来るかのごとく意味も無くウキウキとする


その街並みとは裏腹な場所がココに在る。
その場所とは…学校。

学校は冬休みに入り、学校で生徒を見かける方が少ないぐらい。
まぁ〜部活動に勤しむ生徒達は、相変わらず学校内に出現しているが…。

そんな出現率の少ないはずの生徒が2人程、校内の図書室に居る。

静まり返る図書室。

響くはシャーペンと紙を捲る音。
ふいに、それ以外の声がその静寂に包まれた場に起こる。

「クリスマスは彼氏とデートか〜、良いね

数学の問題集を捲りながら、は友達のに声をかけた。

「デート?何で?」

カサ。
とは違う教科のテキストを捲る手を止めて、不思議そうにに尋ねる。

「はぁ?何でって…クリスマスなんて彼氏とデートしたりするのが定番でしょ」

「そういう行事だっけ?クリスマスって…」

訝しげにに聞き返す。

「だってキリスト教徒じゃないんだから、そんなもん何じゃないの」

パタン。

問題集を大げさに閉じながら、に答える。
少し難しそうな顔をしながら、はうなる。

「でも…家族で過ごすじゃないクリスマスは」

に返す。

「あのね〜彼氏が居るんなら、デートでしょ」

呆れながらに言う。

「折角なんだんだか、家族でチキン食べてケーキ食べてワイワイやっても良いけどさ…手塚君と出かけてきなよ…クリスマスの日ぐらいは…」

まだ納得していなさそうなはそう言う。

「でもな〜手塚君はクリスマスは完全にそう言う行事じゃ無いと思ってると…思うけどな〜私…」

の言葉にまだブチブチと言う

「確かに…クリスマスより正月が似合うけどさ…」

それに対しては苦笑を浮かべながら、にそう返した。
はその言葉にお腹を抱えて10分近く、笑いの渦に巻き込まれていた。

「そんなに笑うもんんじゃ無いでしょ〜…自分の彼氏の事で…」

と笑い続けるは呆れ顔でそう言った。



と別れては今問題の彼氏殿…手塚国光と共に家路に着くべく歩いていた。
今日の出来事など、他愛話をしながら2人は歩いていた。
そしてふいに…。

…12月25日暇だろうか?」

滅多に自ら暇な日など聞かない手塚が、にそう尋ねてきた。

「え?25日?暇だよ」

意外な言葉には驚きながらも、慌てて手塚に答えを返した。

「良ければ、映画を見に行かないか?」

その言葉を聞いて、手塚はに遠慮深げにそう口にする。

「映画…何の?」

手塚の趣味を頭で巡らせながら、は手塚に聞き返す。

「ハリーポッターなんだが…嫌か?」

「それ見たかったんだ〜っ♪良いの?」

手塚の申し出に嬉しそうに、は答える。
が…少し手塚の見るジャンルと離れていたモノだったので、思うわず聞き返す

「何がだ?」

「手塚君は本当にソレ見たいのかな?って思ったから」

「見たくないものなら誘わないぞ俺は」

「そうだよね…でも嬉しいな〜。手塚君と出かけるのなんてかなり久しぶりなんだもん」

本当に嬉しそうには手塚に言った。

「そうだな」

手塚も普段固い表情とは考えられないほど、優しい表情でに同意するのであった。



---12月25日

外は晴天で。
冬なのに珍しく暖かい。
手塚とは時間の5分前には到着し、お互いの顔を見合わせた。

「やっぱり、早くきちゃうんだよね…。これはもはや、癖かな?」

は頬を軽く掻きながら、苦笑を浮かべて手塚に言った。

「遅れるよりは、数段良いだろう。別に悪いくないから、気にすることも無いんじゃないか」

手塚はそんなを見て、優しく笑ってそう言った。

「そうだね」

手塚の言葉には笑顔で頷いた。

「さて、折角だ。早めに並ばないか?」

「うん。いい場所で見たいしね」

は手塚の言葉にそう返す。




映画を2人で見て、それからお昼をとった手塚とは近くの公園のベンチに腰をかけていた。

「やっぱり良かったね、映画」

パンフレットを嬉しそうに眺めながら、は満足そうに呟いた。

「確かに悪くは無かったな」

言葉はそっけないが、手塚も満足そうに微笑む。
それを横目では見つめる。

(素直じゃないな〜…あんなに嬉しそうなのにね)

と不器用で照れ屋な手塚には内心そう思う。
人間だから勿論、そんな風に思ってる事も顔に少しなりとも出るもので…。
も例外ではなかったらしい。

「何か変なこと言ったか?顔が緩んでいるぞ」

「別に、変なことなんて手塚君は言ってないよ」

自分の感情が表情に出てしまう体質を少しだけ恨みながら、は手塚にそう返す。

「魔法…有ったら良いよね〜…ハリーの魔法までとうはいかなくてもさ」

バツ悪かったは慌てて話題転換にはかった。
唐突な話題変化に手塚は一瞬苦笑を浮かべたが…すぐにの話題に乗る。

「ああそうだな“”」 

「やっぱりそう思う。て…え…っ手塚君…今…」

一瞬聞き間違いかと思っただが、手塚の表情を見て聞き間違いでは無いと気がつく。

「“”と言ったのだが…嫌だったか?」

ブンブンと大きく首を振る

「今までずっと…苗字で呼んでたから…少し驚いただけ」

照れくさそうには手塚に言う。
“でも急にどうしたの?”と言いたそうには手塚を見る。
今度は手塚が照れくさそうにする。

「いやな…言うタイミングがなかなかみつから無くてな…」

一旦言葉を切って手塚は言葉をつむぎだす。

「今日はクリスマスという特別な日というのもあってだな…何というか」

そんな手塚を見て、はふんわりと微笑む。

「ハリーの魔法かもね“国光”」

“私も魔法にかかってるし”と照れくさそうには笑う。

「ハリーか…そうだな」

しばらくそんな話をしていた2人だったが…の素っ頓狂な声で話題が見事に変わった。

「そう言えば…クリスマスプレゼント忘れてた」

慌てたようにそれでいて、しまったといった感じには手塚に申し訳なさそうにそう言った。

「元々、プレゼントを貰う日じゃないからな」

「でもな〜私なんにもしてないよ〜。映画は国光がお金出しちゃうし」

「俺は別に気にしていないのだから、気にすることは無いぞ。それに…1番のプレゼントならハリーから貰ったからな」

ニヤリと不適に手塚は笑う。

「へ?」

「良いだろう別に…他の連中は他で。俺達は何時も通りに過ごしたって問題ないだろう?」

の疑問に答えずに手塚は、にそう言った。
は先の意味が分からなかったが、手塚の言葉に納得して笑顔で返した。

「そうだね、何時も通りの日常が1番だね」

ちなみに…が手塚の言葉の意味をしるのは、これから数日たったあとだったとか…。


おわし



2013.2.7.(web拍手掲載→改訂:2012.12.1.(2001.12.26.)) From:koumi sunohara

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