自分の中の妙な癖

色々なモノを観察する

知らなかった事が解る

色んな面が見えてくる

ソレは何だか習慣づいて

気が付いた時には観察していた




ぼんやりと

そう只眺めて観察するだけ

深い意味も他意も無い

止めようと思うけれど…

止める理由もなく…

知らずに観察をしている


でも…今回は少し違う

確証はないけれど…そう感じる



『観察と先入観』



今日の天気は快晴で、日の光がやけに心地良い。
こんな天気の日は、教室に居るのも勿体ないと思える程。
そんな理由からかも知れないが、授業を受けているクラスメート達も眠い目を擦ったり、ぼんやりしてたり…はたまた眠ってる連中ばかり。

かくゆう私…もその中の1人なのだけど。ちなみに私は、この心地よい環境で授業を受けつつ周りのクラスメート達の観察をぼんやりとしている。

まぁ〜、こんな環境で授業をしなくてはならない先生に少し同情するけれど…。
気持ちとは裏腹に頭がサッパリ働かないので、仕方がないかななって思う私が居るのも事実で…。
いやはや、困ったもんだと客観的に思う。

(しかしな…こんな天気の日に国語現代文…なんて“眠ってくださいv”って言ってるようなもんだと思うのは私だけか?)

私は黒板の文字を機械的に写しながら、心の中でそう思う。
カリカリ。
無機質な一定の音が教室に響く。

無論、ノートに文字を写す音なのだけど…教室の人口がほぼ壊滅状態なので…その音は良く響くように感じる。

(ふーん。こんな日に真面目に勉学に励む奴が居るのね〜感心感心)

ノートの書く無機質な音に私は、何となく感心した。大方クラスの頭の良い連中か何かだろうと思いながらも、コノ壊滅しかけてる教室で誰が真面目に受けているのか気になる私。

(さてさて、どうかな?)

先のノートの音を頼りに私は視線だけ巡らせて探し出す。

(確かあの辺だったような気がするんだけどな)

ワクワクしてターゲットを見る私。

(さて、真面目に何やってんのかな〜)

その生徒は、小さな紙に何やら文字を書き込んでいるのが遠目でも解る。

(勉強じゃないんだ…予想が外れた…ノートぐらとれつーの)

心の中で毒づく私。
そして、急に熱が引いていく。

(何だ…つまらん)
 


何とも言えない、詰まらない気分になった私の耳に無機質な音以外の音が入る。
スーッスーッ。
気持ちよさそうな寝息が、直ぐ側で聞こえてくる。

(ん?誰だよ)

私はそんな気持ちで、辺りを見渡す。
そんなに遠くではなくて、寝息は私の隣が立てていることに気が付く。

(隣か…)

私は何となくそう思う。

(…待て…私の隣は、窓だろ?…てことは…隣は)

思わず隣を凝視する。
それはとてつもなく、珍しい人物が寝息を立てて寝ているからだ…。
その人物は“手塚国光”氏。

(おや…天下の“手塚国光氏”が授業中に居眠り…?)

私は我が目を思わず疑わずにはいられなかった…。
文武両道で自分にも他人にも厳しいと称される…彼人物が…授業中に居眠りと言うのが、イマイチしっくりとこないと感じたからだ。

別に居眠りしない人間なんて居ないかもしれないが…手塚国光氏は、私の勝手なイメージの中で以外で仕方がなかったのである。

(ボーッとしている事はあるようだけど…ね)

普段の様子を頭で整理しながら、私は思う。
ちなみに観察しがいが無いので、余計手塚氏のイメージはそういうものなのかも知れないが。

(遅刻とか、風紀やらに…五月蠅くて…先生だって頭が上がらない…手塚氏が居眠り…今日は雨?)

手塚氏には大変失礼では有るが…私は思わず、そう感じずにはいれなかった。
それと同時に、彼もまた“同じ中学3年生”何だとしみじみと思い出す。

(案外、観察しがいがある人物だったりするんだろうね…いわゆるダークフォース?)

何となく面白くて、私はついそんな事を思う。
本人は悪いけれど。



そんな間にも、黒板の字は先生により埋め尽くされている。

(こんな中でも、授業は続けるなんて先生もやるな…)

私は先生に賞賛を与える。

(ん?待てよ、もしかしたら…ココからテスト出して…してやったりって感じか?)

が…すぐに私は、考えを思い直し黒板に何やら必死に書き込む先生の背中を見た。

(そんなに性格悪くないかな…)

と思い苦笑を浮かべながらも、私はやはり黒板を見る。
黒板の内容をノートの書きながら、私は直ぐ隣の手塚氏を観察した。

(まったく…よく寝てる…。まぁ〜この陽気だし…眠くはなるわな〜)

シャーペンをグルグルと回して、1人で納得する私。
ふとシャーペンにひっかっかっている、輪ゴムに目に入る。

(当てたらどうなるかな?起きるかな?)

そんな欲求が沸々と沸き上がりながら、私は輪ゴムを弄り始める。
そして遂に…。
ベシ。
欲求には勝てづ何となく手元に有った、輪ゴムを手塚氏に当ててみる私。
シーン。
反応無し。

(ふむ。何発ぐらいで起きるかな)
 
私は、机の中を探り輪ゴムを発見すると…手当たりしだい当ててみる。
ベシベシ。

「んっ…」
 
私が数発当てた、輪ゴムで手塚氏は一瞬身じろぐ。

(おっ…やっと反応が…)
 
私は、じーっと手塚氏を見る。

「…」

 
焦点がまだ定まらない目で、輪ゴムを当てた私へと視線を巡らす手塚氏。

「おや…お目覚めかな」
 
私は悪戯ぽく手塚氏に、言って見る。

(ははははは…怒るかな?怒るよな〜。何せ輪ゴム当てたし…眉間に皺よってさ…重圧な空気漂わして…“グランド10周”とか言われんのかな(>_<))
 
表情とは裏腹に内心ドキドキの私。
今更ながら自分の行いを、少し後悔してた。

「…(−」−)」
シーン。
沈黙…。
 手塚氏は私の予想とは反して、別段怒った様子を見せない。

(まぁ〜眉間に皺が2本程増えたぐらいで済んで…助かったのかな)
 
意味不明な事を私は思う。
そこに、手塚氏が私に声をかけてくる。

…」

(今度こそ…お怒り…?手塚ビーム?(-_-;))

来るであろう言葉に構える私。

(来るならコイ)

が…。

「俺はかれこれどの位…意識が飛んでいたんだ?」

手塚氏は困った様な表情で、私に聞いてきた。
見事に予想は大外れ。

(おや?そっちに話がいくのか?解らない…解らない手塚国光氏)

心の中で私はウムーとうなる。
が…今はそんな事をしてる場合じゃないと思い直して、私は口を開く。
 
「結構飛んでいたかな…時間は解らないけど…ノートは1P弱あれから進んだね」

私は聞かれた質問に淡々と答える。
実に毒気を抜かれた気になる私。
授業中なのであくまで小声で。

「そうか…」

短く答える手塚氏。
私は“気が付いたなら…何故起こさない”と言われるかと思って構えていたが、そんな苦情が来る様子も無い。

「珍しいね…滅多に寝たりしないでしょ…ボーッとしてたりするだろうけど」

何となく開いてる間が、嫌で私は疑問に感じた事を言ってみることにした。
先にの事でお怒りが無いと言うことは、結構平気かな?なって思ったからだ。

「まぁな」

またまた短く答える手塚氏。

(短っ)

心の中でツッコム私。
訪れる嫌な間。

(間が持たない…授業聞いてる方がましかも…)

思わず私はそう思う。
手塚氏のファンなら、願ってもないコトなのかもしれないが…私には苦痛かも…て感じている。
空気が張りつめた感じだからだ。
その緊迫(私が勝手に思うだけ)を手塚氏は破る。

「…しかし、良く解るな…」

聞き取れるか聞き取れないか…の小さな感嘆を含む声。

「はぁ?何が」
思わず聞き返す私。
何故なら私は、彼…手塚氏に感心されるような事をした覚えがまったくないから…。
でも手塚氏には有るのか…有るから言うのだろが…すぐに答えが返ってきた。

「俺がボーッとしてるコトだ。乾にも、表情が硬いだの言われるのだが…」

その言葉に私はすぐに返事を返す事が出来ずに、1時停止。

「ああ、成る程その事ね」

頭を整理させて、頷く私。

「それは、何となくかな。しーいて言えば、授業中…しかも黒板に大量の文字書いてる時なのに…たまに固まってる時が有ったりするから…もしかしたらボーッとしてると思ってね」

“どうやら大当たりだったんだ〜”と私は1人で納得しながら、そう付け足した。

「そんなに暇なのか…」

半ば呆れたように手塚が、口を開く。

「はははは、手塚氏は怒るかもしれないけどね…その通り!授業中って結構暇なのさ」

そんな手塚氏を見て私は、乾いた笑いを浮かべてそう言った。

「いや…別に怒ったりは、しないが…しいて言うなら、驚いただけだ」

頬を軽く掻いて、手塚氏は言う。
その反応にも言葉にも驚いたのは私の方で…。
目まで見開いてしまった。

「驚く?何で?私はてっきり呆れたかと思ったけど」

(珍しいな…手塚氏が驚くなって…)

そんな私を気にする事もなく、手塚氏は言葉を紡ぐ。

「呆れか。乾みたいなタイプにも慣れてるから…それも無いな。よくデーターとられるしな」

その言葉に私は聞き捨てならなくて、口を開く。
「別に、手塚氏のストーカーじゃないよ。乾君の方がストーカー臭いのに〜」

そう…私は観察するだけであって…データーを取って人様に、迷惑をかけた覚えも無い。
別に乾君が、迷惑をかけてるというわけではないかもしれないけど。
あっちは、機材が揃ったプロ。
私はアマ…。
こんな事で熱く語るのは可笑しいのだけど…何となく私の中では、微妙に重要なことだったので手塚氏に言ってしまった私。

(もしかしたら、乾君ファンに刺されるかもしれない)
 
何て神妙に考えていたら…。

「プッ…」

突然手塚氏が笑い声を漏らしたのに、気が付いた。

「あれ?私可笑しい事言って無いけど…」

私は、正直な意見を手塚氏に言う。
何せ神妙に考えていたぐらいだから…。

「いや…例えが、はまりすぎだ…ストーカーか…」

笑いを噛み殺しながら、手塚氏は言葉を紡ぐ。

「ああ例えの事ね」
 
意味を察して、私は頷く
(こんなに…話す人なんだ〜。コレは貴重な体験だな〜)しみじみ感じる私。

「でもさ〜手塚氏って面白いね」

調子に乗って私は、そんな事を手塚氏に言ってみる。
怒るかな?なって思ったけれど、手塚氏の反応がどう出るか気になったから。

「そんな事言われたのは、不二ぶりだ」

「今度は不二君かい…うーん。まるで私掴めない人ぽいじゃん」

「今日話して、俺はつくづくそう感じたが」

手塚氏があっさりとそう言い切る。

(なかなか言うじゃん)

私はそう思い、手塚氏に習って私も口を開く。
不敵な微笑みを浮かべて。

「手塚氏だって…こうやって話すと、かなり表情の起伏が激しいね〜。やぱり、話してみないと人って解らないもんだね」

「俺もがこんな奴だとは、思わなかったけどな」

手塚氏も軽口を叩く。

「こんな奴って酷いな〜、まぁ〜ストーカーよりはましだけど」

私は戯けたように、手塚氏に笑って言う。

「くっ…」

私の“ストーカー”発言に必死に笑いを噛み殺そうとする手塚氏。
そして…。

「まっ…お互い様かな」「お互い様のようだな」

私と手塚氏は、顔を見合わせてニヤリと笑った。




キーンコーン、カーンコーン。

授業を終えるチャイムが鳴り響く。

「「起立ーっ」」

学級委員長が声を出す。
私と手塚氏は、慌てて立ち上がる。

「「礼ーっ」」

一斉に礼をして椅子に座る。
すると手塚氏が口を開く。
「困った…ノートをサッパリとれなかったな…話に夢中で。コレでは、他の連中に示しがつかんな」

普段の当社比1.5倍眉間に皺を寄せる手塚氏。
本当に困っているらしい。
何だか、そんな顔を見ていたら申し訳なくなる私。

(そっか…寝てたし…私と話していたもんな〜)

あんまり人に貸すの好きじゃないけど…何となくノート貸す気になる。
ノートのとれなかっ原因が少なからず自分にも有るし…楽しかったので私は先のノートを手塚氏の前に出す。

「良ければ、貸そうか?私地味にノート全部とってあるけど」

そう手塚氏に言う私。

「…。お前…俺と話してなかったか?何時の間に」

感心とも呆れとも驚きとも言えない表情で、手塚氏は私を見た。

「聞きながら…だけど…後…話の沈黙の時とかね。間が持たなくてさ」

「成る程。なかなか抜け目ないな」

私の言葉に手塚氏が返す。
その答えに私は、一瞬だけ苦笑を浮かべる。
すぐに先と変わらない表情をして手塚氏に向き直る。

「そうだ…手塚氏」

「何だ、?」

「あのね…ノートで思い出したんだけど…“表情堅い”って違うからさ…」

「まさか…」

「ニヤリ。こうご期待」

私は手塚氏にそう言うと、目的を遂行すべくターゲットを探しに歩き出した。





後日突然乾君のノートの手塚国光の欄に、“表情堅い”と書かれた所に大きな×印が付けられていて大騒ぎになったのは…また別な話。


何時もと違う充実感

不思議な達成感

ソレの正体はやはり分からないけれど

何時もよりも、観察対象が長引きそうな

そんな予感が私によぎった

私の観察はまだ当分終わる気配を見せない

でも…それで良いのかもしれない

止めない理由が出来たから…




****おまけ****

「誰が…俺のデーターノートに悪戯を」

大切なデーターノートを握りしめながら、乾は呟く。
背中に哀愁が漂っている。

「おや手塚か。いやね…手塚の欄に悪戯がさ」

その部分を開いて、乾は手塚に見せる。

「…」
無言でその様子を見る手塚。

の仕業か…)

思い当たる人物を浮かべ、手塚は薄く微笑む。

「乾…お前もまだまだだって事だ…」

そして、乾にボソリと言う。

「何だソレ?」
 
乾が首を傾げる。

「独り言だ気にするな」

シッレッと言い切る手塚。

「データー取るなら正確にな…まーくれぐれも犯罪紛いなことは…やめとけよ乾」
 
手塚はの言った言葉を思い出しながら、そう乾に言った。
乾はそんな手塚を不思議そうな目で見るだけだった。

「何なんだ…今日の手塚は…データーに無いぞ」とボソリと呟くのであった。 

END

    2001.11.8 From:koumi sunohara


☆言い訳と言う名の後書き☆
ココまで読んで下さり、有り難う御座いました。
何時もと書き方を変えて、書いてみたのですが…しかも今回は趣向も
変えてみたり…難しい…。
大抵3人称で書いてるので…1人称は…。いや…そう言う問題でも無いかも(汗)java少ないし(汗)
楽しんで貰えれば幸いなのですが…。
いかがでしょうか?

戻る