心配症de心配の種






何時も無茶ばかりして…


他人ばっかり心配して…


人が良いにも限度ってモノが有るんじゃ無い?


言いたいけれど、目の前では言えない言葉達


心の中で思っているこの、声は貴方に届いているでしょうか?








よくある話に幼馴染みという言葉が出てくる。
普通に生活していれば、誰か彼か出来る存在。
年を追うごとに希薄になる間柄はお約束な展開だろうけど…。


私の場合はそんな事もない。
そんな訳で、私にもそんな幼馴染み様とやらがいる訳だったりする。
同姓の幼馴染みも居るけれど…希薄になる事もなく、その関係は途切れることも無く続いている。






 【律儀】


 【非行ゼロの優等生】


 【お人良し】


 【心配性】


 【責任感の塊】








私コト“”の幼馴染殿の説明をする時に、必ずと言って良いほど…こんな言葉が出てくる。
まだまだ出ていない言葉も沢山あるのだけど…。
数え上げればキリが無いので…止めておく。


(よくもまぁ〜こんなに、出てくるのだろう?)


心の中で、私は幼馴染みの秀一郎を思い浮かべて苦笑を浮かべる。
人当たりの良さそうな表情、声音。
ゆっくりと、お人好しな秀一郎を思い出してゆく。


(昔は髪型だって普通だったのだけど…今は個性的な髪型してるよな〜…後…常備している薬が胃薬だなんて…)


思い出して、思い出した私が何故か溜息が零れそうな程…幼馴染み殿の不憫さが際立つて仕方がない。


…どうしたんだ?溜息なんて珍しいけど…何か心配事でも有るのかい?」


不意に声をかけられて、私は自分が一人では無いことを思い出して「有ると言えば有るカモね」と意味深に秀一郎に返してみる。
すると秀一郎は馴染みきった困った表情を浮かべて私を見た。


「そう言われる方が凄く気になるって知っててやってるのかい?」


穏やかに言われる、そんな言葉に私は小さな小さな溜息をコッソリと吐き出す。


(言った方が気になると思うんだけど)


そんな思いを抱きながら、心に思う言葉と同じ言葉を秀一郎に言葉を放つ。


「言ったら益々気にする秀一郎にはピッタリかなって思ったんだけど」


「でも…気になるモノは気になるんだよ。こればっかりは性分ってヤツなんだろうね」


“はははは”と乾いた笑いをする秀一郎に、私は心底呆れ顔で言葉を紡ぐ。


「と言うより、秀一郎の事を考えて…溜息ついたんだけど」


そう肩を竦めて私が言えば、秀一郎は間抜け顔で私を見返す。
まるで鳩が豆鉄砲を喰らった様に…。


分かりやすい反応を見せる秀一郎に、私は小さく苦笑を漏らして今まで一人考えていた事柄を口に出して言ってみることにした。
勿論先ほどから思っている、秀一郎を説明するときに使うキーワードも忘れずに。


「何時か胃に穴空けるんじゃないの?」


ジロリと目に力を篭めて言う私に、言われた彼奴は流石に思い当たる節が色々有るのか弱気な表情で私に言葉を言い返してくる。


「そんな事無いよ…多分」


言い返した割に、かなり弱気な声音に私の眉はピクリと痙攣する。
お陰様で、口調も更にキツクなるのは自然のことなのかもしれないが…。


「胃薬を常備する人間の言葉じゃ無いよね〜まったく」


言いながら呆れた気持が込み上げてきて私は、きつくなる言葉の途中で溜息を吐く。
すると秀一郎は、頭に手を宛てて苦笑を浮かべて言葉を返す。


「面目ない」


紡がれたのは、何処の政治家が口にするようなそんな言葉。
私は歯切れの悪い秀一郎に、少し語尾を弱めて言葉を紡ぐことにした。


「そう思うなら、少しぐらい気楽にやったら?」


「そう言われてもな〜。先も言ったように性分何だから仕方がないと思うよ。昨日今日で変えられるものじゃないから…難しい問題だね」


そう言って、困った顔をする幼馴染み殿に(まったく…コレでは水掛け論だわ)と内心思いつつ、言葉を紡ぐ私。


「だから、胃を痛めるんじゃないの」


「母さんや妹みたいな事言うなよ。俺だって気をつけるようにはしてるんだからさ」


「そう思うのなら、それに見合う行動をとって欲しいんだけど」


「そんな事言ったってなぁ〜。そう言う事を考えるのも結構…精神的に疲れるんだけど…」


唸りながら答えを返す秀一郎に、私はハッとした。


(え?…考える事にも精神が疲れるって事は…今現在も?…つーか私がやってる事って裏目に出てるの?)


不意に浮かぶその言葉に私は、思わず自己嫌悪…。
先ほどの強気な言葉は口から零れることは無かった。


「秀一郎は心配性でしょ…私はどちらかと言うと…心配の種の養殖場だよね。少し距離開けた方が良いのかな…」


「でもさ…その関係が変わら無いから俺たちは上手くいってるんじゃ無いのか?」


少し落ち込み気味になった私に、秀一郎はそんな言葉を口にした。


「来年も再来年も…こんな関係が続くと良いよな本当に」


ボソリと呟いた秀一郎の言葉に、私も心底そう思った。





結局私達は、お互いを心配し合う…似たもの幼馴染みなのかもしれない。




おわし



         2004.7.16. From:Koumi Sunohara




★後書き+言い訳★
単品では初の大石君夢駄文です。
甘さと言うより、日常をメインに書いてみたんですけどね…。
オチが…無い。
いや…オチを求める時点で間違いなのかもしれませんけど…。
取りあえず、大石君の気苦労が経る日が来ると良いなぁ〜何て思ってます。
こんな駄文におつき合い頂き有り難う御座いました。


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