抗体製作と副作用
慣れと言うのは恐ろしいものだとつくづく思う。
例えば、クーラーのある日常もそうであるし、定刻通りにくる交通機関。
ある事が当たり前で、定刻通りも当たり前、知らない内にさも当然であるように刷り込まれている。
一方海外に行けば、自分達の日常は意外に異なるのだけど、今ある現実が当たり前に思うのだ。
そうして、少しでも日常から外れると人は何か違和感や不快感を感じるのである。
まぁ、別に今まで出した例の様な話しと言う訳では無い。
なんだろう、慣れと言うもののあくまで例えを上げただけに過ぎない。
何が言いたいかと言うと…。
私の周り…と言うか…我が幼馴染み殿+αとの関係に関わる話しなのだ。
ご存知の通り、幼馴染みの真田弦一郎その人は実直で昔ながらの日本男児を地で行く人物。堅物で曲がった事が嫌いな、古風な人物である。
その周りに居る人物も割と古風であったり、紳士的な様で腹黒い人物だったり、策士に詐欺師…甘味大王やらワカメにジャッカルだったりと、個性が強い人材に溢れている。
(ん?何か途中固有名詞が出てる気がするが…まぁいいか…)
とにかくここまで、濃いか?と言いたくなる交友関係が当たり前、日常だったりする。
ここまで、個性的なのに、チャラい人間が居ない。
まぁ、弦一郎が許すはずが無いと言うのも大きいだろう。
そんな訳で、普通ならチャラい人間に耐性がある程度出来るはずが、地味に私はチャラいのには耐性が無。
その代わりに、色々別な耐性があるのだが…。
何て言うだろう…幸村の魔王の微笑に対して言い返したり、戦えるけれどチャラいのにはどうしていいかわからない。
攻略本なしで、レベル1でラスボス戦迎えるぐらい、悩むのだ。
(自称チャラ男のお笑い芸人が目の前に来たらどうしてよいのか不明だよ)
そのくらい私は苦手としている。
(本当に腹の中何考えているか不明な幸村と朝まで語り明かした方が私的には問題ないよ)
ここまで来ると完全に末期症状と言っても差しさわりが無いと私は思う。
多分私の心を小生意気な、後輩の切原赤也なら完全に…。
「え?絶対可笑しいス。先輩、ついに壊れたんスカ?」
とか真剣に言ってきそうなのが目に浮かぶ。
例え誰に何と言われても、苦手なものは苦手なのだからしょうがない。
人間だれしも得手不得手はあるし、好き嫌いもあるんだから本当に仕方がないと思う。
(多分…弦一郎にとっても…ショップ店員や肉食系のお嬢さん方は苦手なんだろうな…きっと未知との遭遇に違いない…)
自分の事を思いながら私は、真面目な幼馴染を思い浮かべる。
私同様、多分弦一郎も苦手なのではと思う…と言うか弦一郎と絶対に交わらない存在である。
(でも…案外大丈夫だったりして?)
意外に応用力のある幼馴染にはて?と思う。
(ブツブツ文句を言いながら、慣れそうだ…あのテニス部で副部長してるぐらいだし)
テニス部の面々を思い出して私は、そう結論づける。
(そうなると…やっぱり苦手というか耐性が無いのは私だけって事になるのかな?)
弦一郎の事を照らし合わせながら、そう感じずにはいられない。
(チャラ男耐性が無くても生きてはいけそうだけど…大学とか社会に出た時困るかな?)
克服できないもは仕方が無いと諦めるのも手かと考えるが、日ごろ苦手なものをなくすように実の親よりも口うるさい弦一郎の姿が頭を掠める。
(克服ね…耐性の無いものに、無理やりワクチンなしで生身で向かう様な無謀さがあるのだけど…)
弦一郎と天秤にかけながら私は、悩みに悩みまくる。
(弦一郎の交友関係でチャライ感じの人を紹介してもらうとか?)
耐性の為にそう考えるが、弦一郎とチャラ男のイメージが沸かない。
(跡部君は…チャライのでは無く独特な俺様だし…その学校に関西弁眼鏡君は居たけど…何か違うし…手塚君ところは居ないし…山吹の亜久津君は不良だし…ん?そう言えば…何かオレンジの頭の人って)
弦一郎の交友関係を思い出しながら、一人該当しそうな人物が頭をかすめる。
(なんだったっけ…ラッキーなんたら…ジュニア選抜にも選ばれてたとか弦一郎が言っていた気が…)
チャラさ云々別にして、記憶にあるのはそんな情報。
今欲しい私の重要項目には一切の影響は何もない状況である。
(えーい。悩んでも仕方が無い、弦一郎に聞いて紹介してもらって耐性を作るきゃないでしょう!)
私はそう意気込むと、弦一郎が練習している立海テニス部へ足を向ける事にした。
テニス部は、テニス部という言葉の響きとは裏腹に相変わらずのスパルタ練習を繰り広げられていた。
手足に着いている、重りしかり…トレーニングしかり。
(軍隊?…一昔前に流行った…○×ブートキャンプ?)
相変わらずのハードな練習。
そんな練習をケロリとこなす、我が幼馴染とその仲間はある意味化け物である。
(痩せると分かっていても立海テニス部式ダイエットはゴメンだわ)
何て、まったく関係の無い事をしみじみと思う私。
そして、はた?とお気がつく。
(目的忘れちゃいかんよ。チャラ男抗体を作るって決めたっじゃないか)
現実逃避しかけた私は、自分を奮い立たせて弦一郎の居る場所を目指す。
その間にも立海テニス部1軍陣とすれ違うが、彼らは私の行動うに慣れてしまっている所為かあまりに気にせず、スルーしていく。良いのだっか悪いのだか…。(えーい。悩んでも仕方が無い、弦一郎に聞いて紹介してもらって耐性を作るきゃないでしょう!)
私はそう意気込むと、弦一郎が練習している立海テニス部へ足を向ける事にした。
テニス部は、テニス部という言葉の響きとは裏腹に相変わらずのスパルタ練習を繰り広げられていた。
手足に着いている、重りしかり…トレーニングしかり。
(軍隊?…一昔前に流行った…○×ブートキャンプ?)
相変わらずのハードな練習。
そんな練習をケロリとこなす、我が幼馴染とその仲間はある意味化け物である。
(痩せると分かっていても立海テニス部式ダイエットはゴメンだわ)
何て、まったく関係の無い事をしみじみと思う私。
そして、はた?とお気がつく。
(目的忘れちゃいかんよ。チャラ男抗体を作るって決めたっじゃないか)
現実逃避しかけた私は、自分を奮い立たせて弦一郎の居る場所を目指す。
その間にも立海テニス部1軍陣とすれ違うが、彼らは私の行動うに慣れてしまっている所為かあまりに気にせず、スルーしていく。良いのだか悪いのだか…。
何やかんやで、目的の集団に行きついた私は、相談するべく内容を彼らに話した。
初めは、黙って聞いていた面々だったが…幸村が少し間を開けて言葉を紡いだ。
「。冷静に考えてみなよ」
「何よ幸村」
呆れたような口調の幸村に私は、すかさず言葉を返す。
しかし、幸村は負けずにいい笑顔を浮かべて言葉を吐きだした。
「や弦一郎の様な人間は、どう考えてもチャラ男の耐性は出来ない。蓮二のデーターでもきっと98%ぐらいの確率でそう出ると俺は思う。そうなれば、無理に無駄な動力を使うのはナンセンスだろ?人には得意不得意あるものだから気にしなくて良いじゃないか(まぁ…どうせ、弦一郎と結婚するだろうし気にするだけ無駄だと俺は思うけどね)」
「何だろう…折角人が苦手を克服しようとしてるの…その良い草は微妙じゃ無い?」
「ん?別に微妙じゃないしね。そんな耐性無くても生きていけるでしょ」
「生きてはいけるけど…何か腑に落ちないんだけど」
私がしかめっ面でそう言うと、近くに居た弦一郎もそう感じたのか眉間に眉を寄せていた。
「おや?弦一郎もと同意見なのか?第一、より無理だろうお前は」
「いや…だがしかし…苦手のままで居ると言うのはな」
言い募る弦一郎に、幸村は口だけで笑みを作り言葉を紡ぐ。
「正直治る見込みの無い事をするぐらいなら、お前ならテニスに力を注ぐだろ?勉強と違うんだ。一朝一夕で治るものでもない、特効薬も無いなら、なるべくソレと関わらないならさしあたって問題無いと思わないか?」
「うむ。だが…しかしだな幸村」
「は兎も角、弦一郎はあまり困っていないのならそれで良いじゃないか。も弦一郎の様に諦めればこの話は丸く収まるだよ」
これ以上の言葉は許さないとでも言いたげに、幸村はそう言葉を締めくくった。
(やっぱり諦めの境地かな…これ以上いったら、私じゃ無くて弦一郎の胃の方が危ないし)
心の中でそう思った私は、適当にお礼の言葉を口にしてこの場を去ろうと考えていたところに、傍観していた仁王がおもむろに口を開いた。
「じゃあ、こう考えれば良いじゃろう」
「何よ仁王、突然に」
「まぁまぁ。聞きんしゃい。チャラ男は、訳あってギャルだったんだが、突然変異で男になったと思えば、何ともないじゃろ?真田と違って、お前さんはギャルは平気じゃしな」
ケロリと紡がれた解決策は、
「ようは、思いこみが大事ちゅーことじゃ」
「何といいますか…高所恐怖症の人へのアドバイスぽい…自己暗示ってこと?なんか心もとないような」
「それ以外に解決策はないじゃろう」
「そうだね、弦一郎では無理だろうけど、ならギリギリその方法で何とかなるかもね」
仁王の言葉を引き続ぐように、幸村も明暗だと言いたげにそう言葉を締めた。私は納得したやら、しないやらの気持ちで、終始無言を貫いていた。
立海テニス部頭脳である柳が、おもむろに口を開いた。
「残り2%の対策は確かにソレに尽きるだろう。が…薬には必ず副作用がある事を忘れてはいけないな」
この時の柳の言葉を忘れていた事が悔やまれる事になるとは、この時の私は考えもしなかった。
私は、立海のテニス部を巻き込んでチャラ男克服の第一歩を踏み出した。
後日、柳のいう副作用で、チャラ男見ると何故か吹き出すという副作用が出る事になったのである。
駄目な物を無理にやろうとすれば亀裂や成功をしないと言う教訓を胸に刻む事となったのだった。
おわし
2012.10.18. From:koumi Sunohara