勝利への手回し−気づけば私は罠の中−

私の幼馴染みは、かなりの良い性格をしている。
自分の容姿がどれだけ他人に与える効果があるのか熟知しているし、面の皮が厚い策略家である。

そんな幼馴染みである、有定修也と言う人物と私は通う学校は違えど(奴は男子校である)、幼い頃から腐れ縁と言う言葉が似合う付き合いなのだが、誰もが修也に騙されるのだ。

近所の人間をはじめ、私の親も例外では無く、騙されている人間だ。

本当に思い出すだけで切なくなる。

ともかく実際問題、美形という分類で外面が良い奴は本当に得をする。

普通なら虐めの対象になる容姿である女顔ですら、武器にするという強わ者である。現に学校の実権を思うがままにしている、支配者だ。
笑顔で無理難題を言ってのけるから堪らないし…その無理が通ってしまうからより、何とも言えない気分になる。

まったく世の中不公平極まり無い。

ラスボスの様な…魔王…独裁者…そんな相手に勝てるわけも無い。
私はしがない一般人…平民が魔王に勝ってしまったら勇者は要らないし…兎も角流石の私だって学習する。

『触らぬ神に祟りなし…基…修也には関わらないければ安全』

そんなスローガンを元に、私は修也の居ない平和な学園生活を満喫し…プライベートにおいても、避けた生活を心がけている。
正直マゾ気が無い私は、理不尽な要求してくる修也から距離を置くわけなのだが、修也は空けた分の距離をすぐさまつめてくる。

あからさまな避け具合もある私も悪いかもしれないけれど、そんな相手に時間を割く修也もそうとうなものだ。
一歩間違えば、ストーカーか何かである。

そんな攻防戦に疲れた、嫌からせかと思い、直急ストレートで尋ねてみたら…。

「だって、下僕志願者にわざわざ近付く必要無いでしよ。それにと居ると楽だしね」

などと言うしまつ。
修也のお付きの者(藤森学園の確か…越廼先輩など)が聞いたら哀れであるし、私にしては良い迷惑窮まりない。

「私には拒否権は無いの?そもそも修也なら、選り取りみどり選び放題でしょう?」

疲れた顔でそう私がぼやいたら、修也はその辺のモデルのお嬢さんなんか目じゃない笑顔で爆弾をサラリと投下した。

「だからを選んでるんだよ。逃げたければ逃げても良いけど…そのうちは俺のになるけどね」

その言葉を聞かないふりをしながら、私は思った。

(何にせよ、私は有定修也と言う幼馴染みと言う呪縛から抜けれそうも無いのだろう。神様と修也の気まぐれが起きない限り)


結局はこの女王様の手の内なのだと。
心底思った。

おわし

2008.5.17.From:Koumi Sunohara

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