笹に掛ける願いの行方
笹の葉 さらさら
軒端に揺れる
お星様 きらきら
空から 見てる
五色の短冊
私が書いた
お星様 きらきら
金銀砂子
子供達が口ずさみ、七夕飾りがさわさわ揺れる。
そんな夏の一幕を楽しむ者もいれば…異なる者居る。
ここもまた、学校のエントランスに笹が揺れ、生徒の願いを込めた短冊が飾られていた。
「ねぇ緑間君」
「何だ」
「七夕の願い事する方?」
「何を言っているのだよ。七夕は、もともと、手習いの上達を願ったりすのであって願い事をかなえる行事ではない」
「うん。知ってるよ」
はすぐにそう返す。
「だったら何なのだよ」
の言葉に緑間は、そう口にするとは少し頭を掻きながら言葉を紡ぐ。
「いやね…学校のロビーに飾られている笹がさ…神社の絵馬みたいになってるから思わず緑間君にも聞いてみたわけだよ」
そう口にしたに、緑間も思い当る節があったのか眉間に皺を寄せた。
「中々に欲深いよね」
しみじみと呟かれる言葉に、緑間はに声をかける。
「」
「何?てっきり私もお願い事でも書くと思っているのかね緑間君?」
「スマン」
短く謝る緑間には肩を竦めて見せる。
「まぁ…小さなころはそう思った事も確かにあるけどね。そもそも、笹につるした願い事を誰が叶えるというのだい?織姫と彦星にゃそんなご利益は無いのにさ」
「オカルト大好きスピリチュアル女子のからその言葉が出るとは思わなかったのだよ」
「いやいや。好きだからこそ、調べるってのが人の性ってもんでしょう」
「だからこそ、てっきり願い事を書くのかと思ったのだよ」
「ああ…なるほどね」
緑間の答えには納得がいったという感じに答えを返す。
「神社で絵馬を書いたり、お願い事はするけどさ…笹に願い事をしても多分私の願いはかなわないからね」
少し哀愁を漂わせてはそう口にする。
「その願いとやらは何なのだよ?」
「ぜひとも、UFO降臨かな」
「聞いた俺が馬鹿だったのだよ」
「聞いておいてそれは無いよ緑間君よ」
「七夕に願い事をしないと言ったから、普通は少しはましな願いかと思うのだよ」
眉間に皺を寄せて、言う緑間には肩を竦める。
「緑間君がもしも願掛けするとしたら一択だろうね」
「ほぉ…何だと思うのだよ?」
「勿論それは…おは朝のアイテムが手に入りますようにしかないでしょう!!」
どや顔で言い切るに、緑間は大きくため息を吐く。
「それこそ“笹に願い事をしても多分叶わない願い”なのだよ」
呟く緑間には、「そうだね。地道が一番だね」と切り替えしつつ、二人は生徒が願いを託した笹を眺めるのである。
こうして、ロマンスのかけらも無いまま、緑間との七夕はこうして過ぎていったのだった。
おわし
2015.9.17(web拍手掲載2015.8.4.) From:Koumi Sunohara