お手軽風水始めます
緑間真太郎は、おは朝信者である。
は…オカルトマニアである。
この二つだけ聞くと救いようが無い二人に見えるが、割と常識人だったりする二人である。
基本的に迷惑をかける事は少ない…一部の人間を除く。
たいていの場合は、お互いが少しメンドクサイ奴だな〜と思っているぐらい、帝光では割とまともな部類に属している。
そんな変わり者二人は、今日も何時も通りの通常運転だなぁ〜とクラスメイトは思うのだ。
そう…これは、そんな日常の一コマである。
「西にピカチュー、東にマリル、南にフシギダネ、北に…うーん…何だったっけ?」
「何の呪文なのだよ」
「何ってそりゃー風水に決まってるよ」
胸を張って言い切るに、緑間は米神を抑えた。
「どこをどう考えたら風水になると言うのだよ」
「え?だって、西に黄色は金運、東に青は仕事・勉強運、南に緑は人気・健康運だよ…で北の色と運気が思い出せなくてさ、口に出して言っていた訳」
緑間にそう説明するに緑間は大きくため息を吐いた。
「今の説明で漸く少しは理解できるが…先程のピカチューは明らかに呪文なのだよ」
「呪文じゃないよ。子供に有名なゲームのキャラクターだよ…黄色の電気ネズミ…」
「有名なネズミは某夢の国のネズミなのだよ」
「まぁ…確かに某夢の国のネズミはグローバルな人気だけどピカチューもなかなか何だけどな〜」
そう言いながら、はペンケースの中を少し漁り目当てのものを取り出した。
「コレだよコレがピカチューだよ」
お菓子のおまけについていてたシールを緑間に渡しながらはピカチューについて説明する。
「ちなみに電気タイプで雷の石でライチューに進化するよ」
「そんなプチ情報はいらないのだよ」
「結構長い事、ゲームとかアニメとかやってるから老若男女とわず知られた存在なんだよ」
「知らないのだよ」
真剣にシールを見つめながら、ハッキリと告げる。
「まぁ…知らない人は知らないか」
「そうなのだよ」
の答えに、緑間がそう答えるとは特に気にした様子も無く納得した。
「やり始めたら意外に凄く強そうなんだよね緑間君。根が真面目だし…属性とか考えて戦うとか得意そうだしさ」
「そんな事に注込む時間は無いのだよ」
「まぁ…忙しいね…」
そう口にするに渡されたシールを返そうとする緑間に、は断りの返事を返す。
「いいよ、ソレあげるよ。だっておは朝で何時、ピカチューが必要になるか分からないし…緑間君も持ってるに越したこと無いんじゃない?」
に言われた緑間は少し眉間に皺を寄せる。
「まぁ…無理にとは言わないけど…こないだ、マニアックなキャラクター物の指定あったぐらいだし、シールの1枚ぐらい保険に持っていても損は無いんじゃないかな?」
「だが…」
「生徒手帳の間に入れとけばいいじゃない」
割と正論を言うに緑間の眉間のしわが何時もより深く刻まれる。
「そんなに嫌かなピカチュー…青峰君の持ってるグラビア写真集より健全だよ」
そうに言われた緑間は、少し考えた後そっと手帳に挟み込んだ。
「まぁ…そのシールはさせておき、その内案外さ…おは朝も風水を取り入れるかもしれないし…緑間君も少し他の占いにも視野を広げてみると良いかもよ」
「俺はおは朝があれば十分なのだよ」
「まぁ…そうなんだけどね…」
「そんなに言うのならが学べばよいのだよ」
「ん?」
「占星術部なのだから多岐にわたるジャンルをだな」
「まぁ私は好きだから良いんだけど…もしかして…緑間君、楽しようとしてないよね?」
ジト目でそう口にするに緑間は少し視線を泳がせると、少し固まった。
「本当に正直者だよね…おは朝詐欺に遭わない事を本当に祈るばかりだよ」
肩を竦めてが言えば、緑間は口をパクパクさせた。
「な…お朝詐欺…そんな…馬鹿な」
「たとえ話だよ。だって緑間君、ラッキーアイテムの為なら貪欲過ぎて偽物とか平気で掴まれそうなんだもん。普通の事は用心深し…頭がいいのにね」
「断じて引っかかったりしないのだよ」
「あるかもよ。幸運の壺とか売る感覚で…おは朝公認開運の壺売ってたら買いそうだねって事だよ」
そう言われた緑間はピタリと止まる。
(あ…少し欲しいかもって思っちゃったんだね…緑間君)
急に止まった緑間には心の中でそう思った。
(普段真面目で真四角な友人の唯一の欠点は…敬虔なおは朝信者って事だしね…本当におは朝絡むと理性を失うよね)
今後の緑間の行く末をはこっそり心配になるのである。
「まぁ…うん。私が側に居る間は…そうならないように気をつけるよ。そんな訳で、やっぱりピカチューは緑間君は持っていて欲しいよ。うん」
「必要ないのだよ」
「兎も角、金運もアップするし…色々な意味でね…ね」
そう言い切っては有無も言わさずに緑間の生徒手帳へピカチューシールを貼り付けて押し付けたのである。
風水…ポケモン問題はこうして、によって幕を下ろしたのであった。
そして…この時のと緑間は知らなかった、遠くない未来に…マジバおは朝フェアなるもので緑間が散在する事になろうとは…知る由も無かったのである。
おわし
2014.12.30. From:Koumi Sunohara