糖質0なのです  

は俺と同じ高校へ行くのだよ」

何度も聞き、耳にタコが出来る程の台詞だ。
その度に私は、眉を寄せて同じ言葉を繰り返す。

「緑間君の頭の出来と私の頭の出来では…ミジンコと魚ぐらいの開きがあるんだよ。だから無理」

自分でも言っていて結構切ない言葉ではあるけれど、事実緑間君と私との学力は格差社会ばりに差がありすぎる。

自分としてもそんなに、頭悪くない中の下ぐらいか中の中ぐらいだとしても、緑間君は学年の上から数えてすぐの頭脳を持っている。進学校だって引く手数多といっても言いすぎでは無いと私は理解をしている。

プロとアマ程の学力の格差があるにも関わらず、頭のいいこの緑間真太郎その人は私に、こうの給うだ…「同じ学校へ行くのだよ」と…。

頭の良い緑間君は、教え上手で中の下であったり中の中の私の学力を中の上ないし上の下ぐらいに引き上げる力があるだろうが…それでも緑間君の求めるレベルには程遠い。

緑間君が私のレベルに下げるとすれば可能ではあるが…。
どう考えても、その線は薄い。

学校に親御さん…各方面からNGが出ること間違いない。
身分違いの恋人との結婚の許可云々並みの大きな壁がそこに存在する。

そもそも、無理してレベルを下げられ同じ学校に通うもんなら緑間君の人生を左右するもので、私には背負う勇気も度胸も覚悟も存在しない。

そういうものも含めて、私はオブラートに包んだ結果がミジンコ発言であるのだが緑間君は納得しない。

曰く…。

「人事を尽くせばも俺と同じ高校に通える」

とか…。

曰く…。

「おは朝のラッキーアイテムを持てば受かる」

とか若干、おは朝教の勧誘か?と疑問視したくなる発言もありつつ、緑間君は事あるごとにそう口にする。

まるで、言葉に出して言えば願いは叶うと言いたげに。

(緑間君はカルトじみた事は嫌いなはずなんだけどね)

彼の嫌いなカルト染みた発言に、そこまで私との高校生活に拘る意味が見出せない。

「私じゃなくても君にはバスケがあるでしょに」

呆れてそう口にする私に緑間君は間髪入れずに…。

なしの高校生活はありえないのだよ」

そう平気で口にする緑間君。

(誤解を招く発言だからやめて欲しい)

その言葉に私はゲンナリする。
他の人からみたら熱烈な求愛に似た殺し文句なのだけど。
私と緑間君では意味合いが違う。

なしの高校生活は考えられないのだよ”これを翻訳すると…“というおは朝の同士が居ない高校生活は寂しいのだよ”という変換になる。

おは朝で繋がる間柄…正直私も時々、緑間君と友人なのか疑問に思う事がある。

(緑間君にとって私は都合の良いおは朝関連の人では無いかと…)

それぽい事を匂わせた事を出会ってすぐに口にしたら、凄く悲しい目をして必死に否定してきた。ソレ以来禁句となっているのだが…時々ふとそう思う。

まぁ…そんな訳で、他人からは甘い内容に思われるが、当事者は甘さは何一つ無いのである。

(頑張って同じ高校に行けない事は無いだろうけど…かなり無理しないとだし。そろそろ私離れしないとさ…緑間君も…。別に緑間君とおは朝が凄く面倒くさくなった訳じゃないけど…コミニュケーション能力とか…友人の数が少なすぎる緑間君の行く末がかなり心配になるなぁ)

心の中でそう思う。

そもそも、何故に緑間君が私に拘るのかサッパリ分からない。
仲は良いと思うけど…部活仲間でも無い、おは朝がきっかけで友人になったようなモノ。

キセキの世代とか言われているバスケ部の連中との方が絆だってあるのだと思う。

(部活の仲間の事を言うと照れてるのか、途端に不機嫌になるから口にしないけど…)

それに比べて、私と緑間君は普通に会話してと普通の友人だ。その間には必ず、おは朝が付いてまわるけれど。

(高校が別々になる事なんてよくあるものなのに…意外に寂しん坊?ん〜結構ツンデレラだからな〜緑間君)

緑間君の日々の言動等を思う。

(現代は携帯電話やインターネットが復旧しているご時世だし…そもそも、受験っていっても都内だからそんなに離れる訳でも無いのに…本当に緑間君は不思議だ)

情報化社会とうたわれ、小学生でも携帯を平気で持ち歩くこの日本、遠距離恋愛の恋人でも無い私と緑間君なのだから、高校が違えども少し疎遠にはなるだろうがあまり変わらないと私は思っている。

「学力の差がある以上、高校は別々になるのは仕方が無い事じゃ無いかな?それに、今はネットもあるし都内だし…遠距離恋愛でもあるまいし…高校が違っても友人じゃない?」

「それはそうだが…おは朝の理解のある友人はだけだ」

「いや…まぁ…そうだけど。でもさ、今みたいに高校でもおは朝の同士は高校で別にできるかもしれないじゃん。新境地開拓みたいな?」

そう口にすると、緑間君は黙った。

(おっ…おは朝の新境地に喰いついたかな?)

黙る緑間君に私はドキドキしながら見守った。

「新たなおは朝の共通の友人」

「そうだよ。ご新規さんの開拓をしなくちゃ…同志が増えたら楽しいよ(多分)」

「しかし…ほど理解のある友はいないと思うのだよ」

「ん…(そうかな?別にそんなに理解していないけど)。でもさ緑間君、ここでお互いに別々の高校に行けば、互いに違う友達も増えるでしょ。そうすれば、おは朝のラッキーアイテム集めも楽になるとは思わないない?」

やはり渋る緑間君に私は伝家の宝刀を引き抜いた。おは朝ラッキーアイテムという最終兵器を…。

「おは朝」

「そうだよ。様々なジャンルの知り合いが増えれば、おは朝アイテム探しも楽になるでしょ。アイドルとか芸能とか私や緑間君は疎いからさ」

「確かに」

「ほら…ね。良い感じでしょ。うん、万事解決だね」

そう畳み掛けた私に緑間君は、思わず「そうだな」と頷いた。
私は、悪徳業者真っ青な気持ちで(よし、言質はいただいた。これで高校生活問題無し)そう思っていたのだが…そこは問屋が卸さなかった。

数日後…緑間君は、やっぱりウジウジと高校進学の件を口にしたのである。

(そう簡単にはいかないと思っていたけど…ここまでとは…)

私の背中に嫌な汗が流れるのを感じながら、どうしたものかと思案する。

(こ…これは完全に持久戦に持ち込むしかないかも。最悪、緑間君の望む志望校を一つ受けるしかないかな?)

学力の差と万一受かった後の授業についていけるか、そもそもの私の将来の為には高校選びは自分の物であることを持久戦で説明した。間におは朝の事を然り気無く交えながら交渉すること数ヶ月。何度も挫けかけたり、話がループしながら何とか私は勝率を勝ち取った。

こうして緑間君とは無事に高校が別れる事となった。

高校に進学した後にまた、このネタで愚痴られるなんてこの時の私は知るよしも無かったのであるが…。

おわし


2013.7.19. From:Koumi Sunohara


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