信者じゃなく視聴者デス  


新入生ならではの、オリエンテーション諸々をこなしたと緑間ら新入生は何気に色々バタバタしている。新しい生活に慣れようとするのも大事であるが、3年間何をすべきかを考えるのも大事なことである。

その例として、委員会や部活選がある。もその例に漏れることなく、学生生活の今後に悩んでいた。

「ん〜沢山あるから悩み所なんだよね」

部活や同好会などの紹介が書かれた冊子を見ながらはそう答えた。緑間はそんなを見た。

「そういう緑間君こそ何部か決めたの?」

涼しげにに尋ねる緑間の表情を見たはそう尋ねた。
緑間は一瞬不思議そうな顔をしながらも、直ぐに答えたを紡ぎだした。

「バスケットボール部に決まっているのだよ」

緑間の答えには首を傾げる。

「えっ…文系の部活じゃなくてバスケットボール部?」

「そうと言っているだろう」

「バスケットボールするイメージ無いけど」

ますます首を傾げながらは言う。

「それに緑間君、ピアノ弾くって言ってたしさ…バスケットボールは突き指するのに良いわけ?」

純粋にそう尋ねるに緑間は軽く鼻を鳴らした。

「抜かりは無いに決まっているだろう。おは朝のアイテムを持っている俺に、突き指などいう言葉は愚問なのだよ」

言い切る緑間にはすかさず言葉を繰り出す。

「流石におは朝につき指を回避するお告げは無いと思うよ。そもそも、人間だもの突き指だってするでしょうに」

「おは朝がお告げでは無いに決まっているだろう。占いなのだよ」

「まぁ…そうなんだけど…それよりピアノと指の怪我についての質問なんだけど」

そう口にするが、緑間は何処吹く風といった雰囲気である。

「まぁ…いいよ。うん。兎も角緑間君はバスケ部ね」

「ああ」

「んー。私は運動系パスだから文系だけど…色々あるよね」

「料理や囲碁、将棋…文芸部…多彩だな、細かく見れば一つぐらい自分に合った部活はありそうなのだよ」

「私としては、ムー的な部活とか同好会とかが希望なんだけど…」

文系の項目を見ながらがそう呟けば、緑間がピタリと冊子を捲る手を止めた。



「ん?何緑間君。ムー大好きクラブとか…オカルト系の同好会とか有った?」

冊子から目を上げずには気軽に尋ねたが、尋ねられた緑間は小刻みに震えていた。冊子に目を向けるには判りかね事柄であるのだが。

(ん?返答が無いけどどうしたんだろう?)

少し疑問に感じたが緑間を見やると、石化した緑間がそこに居た。

「あれ?緑間君どうしたの?」

「どうしたも、こうしたも…ないのだよ」

「え?だから何が?」

緑間の言葉にサッパリ解りかねるとが首を捻るが、はふとある事に気がついた。

(おは朝に傾倒してるから、お仲間かと思ったけど…もしや…違う?)

そんな事を思いつつは言葉を紡いだ。

「あれ?もしかして…緑間君はオカルト系無理な人だったの?」

「そもそも、オカルト系って何なのだよ。違うのだよ、ごくごく普通の学生なのだよ」

緑間の言葉に、今度はがピタリと止まる。

(緑間君…普通の学生はおは朝のアイテムを肌身離さず持っていないと思うよ)

心の中でそう思いながら、は困ったような表情を浮かべた。

「でも…緑間君は敬虔なおは朝の信奉者じゃない」

「し…信奉者だなどでは無い。そもそも、おは朝は宗教では無いのだから」

言い切る緑間に、は微妙な表情で緑間を見た。

(うん…何か、アイドルに傾倒してる人とか…熱狂的なスポーツのチームのファンの人とか、オタクとかホニャララ狂とか…宗教ポイ例えとか嫌がる人と同じ匂いがする。私としては、緑間君はおは朝教の敬虔な信者なんだけどね…あの鬼畜アイテムを常に持ち歩くなんて…そうそう無理だモノ)

信者では無いと言い切る緑間に、は少し言葉を選びながら言葉を紡ぐ。

「まぁ…そこは置いて置いて。ラッキーアイテムというものは、普通現実主義の人からすれば、眉唾物で…そういう物を熱心に用意してるから、占いとか霊的な物を信じる人かな?って思ったんだけど」

「確かに…お守りとかに似ている言われればそうだが」

「でしょ。まぁ人の趣向は人それぞれだし、緑間君がオカルト駄目でも別に笑ったりしないよ」

そう言うは、暗にお前も口出しするなよと言わんばかりの言いようであった。

(俺はがオカルト好きの件に関して笑い事ではスマナイのだよ)

緑間は心のそこからそう思った。

「ひ…人それぞれだが…が黒い三角の頭巾を被って変な団体になるのはごめんなのだよ」

の目力に少しどもりながら、緑間はそう言った。
はそんな緑間を見て、二、三度瞬きをした後、苦笑を浮かべながら言葉を紡ぐ。

「黒い頭巾…ああKKKの事言ってる?何だ緑間君やっぱりいける口でしょ…ああ…そんな顔しないで、お茶目なジョークだよ。そもそも、カルト集団に入る気無いし大丈夫」

手をパタパタさせてそうが言えば、緑間は小さく咳払いを一つして、言葉を紡ぐ。

「オカルト系が好きならば…は占いは嫌いでは無いだろう?」

「ん?藪から棒に…まぁ、うん嫌いじゃないし興味もあるよ」

「そ…そうか。なら、この部活にすれば良いのだよ。寧ろその部活にしてしまうのだよ」

緑間は、冊子の該当部分を指差してそう口にした。

「え…何々…占星術部?」

「そうなのだよ、占星術といえば占いなのだよ。占いは古来より日本でも行われてきた由緒ある、カルト集団だとかUFO研究よりも安心安全なのだよ」

そう口にする緑間にはこっそり…(占いは良いんだ…まぁ平安時代とか陰陽師とかあったしね…日本古来のは問題無いんだね)と思いながら、緑間に見せられた占星術部の紹介を見た。

星占い、タロット、ルーン、手相に易など…西洋、東洋…様々なジャンルの占いをかなり本格的に行っている旨記載があった。

(まぁ…うん。妥当かな)

はそう思うと、まだ挙動不審な緑間に短く返す。

「そうだね…うん。悪くないね。一先ずこの部に仮入部してみようかな」

「うむ。そうすると良いのだよ」

こうして、おは朝信者の緑間と占星術(仮)になったのコンビがこうして誕生したのであった。


おわし

2013.7.1.From:Koumi Sunohara

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