プロバスケを観に行くことになりまして(序)  


それは変哲も無い日常。

完全無欠のインドア派の私は、原則学校の無い休みの日は家でダラダラしているとか、PCでネットサーフィンをしたり本を読んだりゲームしたりと、まぁいい身分だと言われるような絵に描いようなダラダラ具合に過ごしている。

人それぞれの休日なのだから、誰かにあれこれ言われる言われは…殆ど無い筈。
我が家の母上様以外は…。
脛齧りの扶養されている側にとって、母親はある意味最強のラスボスである。

まぁ、そこはどうでも良い。
両親からのクレームは兎も角、そうそう自分の休日に口を出す奴なんざ基本居ないはずなのだが、一部例外がなにごとにも存在するもんだ。

それは、中学時代からの不思議な友達である緑間君である。
基本は真面目でバスケ大好きな好青年である。
変わってるとしても、おは朝の敬虔な信者で呪いレベルでおは朝に左右されている緑間君。

人は彼を変わった奴と言うが、私自体もオカルト大好き人間なので別段その辺りは気にしない。
何せお互い様だしね。
ただ難点があるならば、彼は頭が良すぎるのか言葉が極端に少なく自己完結型である点だと私は思う。

色々考えた末の行き着いた答えであると思うにだが、分かっていることを前提に物事を進めるきらいにのある緑間君は、他人から見れば突拍子も無い人とうつる様に思う。

中学時代のバスケ部の一部の人は其処に気がついていたとは思うけれど、初見の人にはなかなかに彼の本質は気がつかない。

なんだか緑間君語りなってしまったが、変哲も無い日常を崩すのは、かなりの確率で緑間君と言う存在にほかならないのである。

そんな事を緑間君に言ったら…。

「全くもって、心外なのだよ」

とメガネのブリッチをクィっと上げてため息混じりに言葉を発するのが目に浮かぶようである。

心外だと言われようが、やっぱり緑間君と関わると非日常になるのである。

まぁ小難しい事を並べているけれど、人にしてみればさほど変化なんて無いものである。

原則私は、出不精で引きこもり気質が高いのだ。
後、興味の無い事に対して面倒ごとは嫌いである。
極論であるが…オカルト関連や美味しいものには恐ろしい程に過剰に反応するが、アウトドア…スポーツを行う等は寧ろからっきしである。

緑間君というバスケットマンと居れば自ずと興味が出るのだと思うだろうが、それとこれは別問題。
私はあくまで…人間緑間と友人関係であるけどバスケットマン緑間としてのつきあいは微妙なのである。

だからこそ、キセキの世代だかと言われて…その友人関係が微妙になって拗れても、私と緑間君の関係は別段変わらないのである。

まぁ緑間君自体は、自分のフィールドに私をよく引き釣り込もうとしている感は否めないけど…。
おは朝の布教活動の一環だと思えば軽いもんである。

その一環の一つは、私によくバスケットの試合に見にくるように誘うという行動。

別にバスケットを一緒にしようと言われている訳でも無いので、別に難しくは無いのだがいかんせんルールがよくわからない。
厳密に言うと授業でやるので分かるのだが…何分卒業した学校が超次元バスケット…(某サッカーアニメのように化身を召喚する訳では無いけど…一般人には超次元バスケにしか見えない)のメッカだった為に少し微妙な感じなのである。

それを、馬鹿正直に緑間君に言うのもショック受けてメガネを割ったら困るから言えないし…同じ学校の黒子君に関しても以下同文である。

そんな訳で私は、のらりくらりと緑間君のお誘いを躱してきたのだが…相手は確実に私より賢い緑間君な訳でして…。

ピンポーン。

どこか間の抜けた家の呼び鈴がなり、インターフォンの画面を見ると見慣れた眼鏡男子が其処に居た。
気分は…

『ワタシメリーさんアナタの家の前にイルノ』

も真っ青状態が今現在、さん(私の)御宅の前に起きております。

(待て待て…メリーさんから電話もらってないからね私)

若干の現実逃避とポケットの中のスマートフォンの着信歴をチラリ見ながらそんな事を思う。
そもそも、現実的にメリーさんは来ない…オカルト好きですが一応弁えてますんでね。

ともあれ、緑間君からの着信もメールもLINEもない。
当に、アポ無し突撃ご訪問である。

(ん…私緑間君と約束していただろうか?)

そんな事を考えながら私はインターフォンに対応するのである。

「ハイハイ、緑間くんどうしたんだい?」

「どうしたもこうしたも無いのだよ」

「そう言われてもね、とりあえず玄関先も何だし居間で話そう?」

「それには及ばないのだよ」

「ん?」

「単刀直入に言うが、今日は暇か?」

「まぁ…特に予定は無いかな」

そう答えた私に、逆光眼鏡がキラリとした緑間くんが口を開いた。

、プロバスケットを観に行くのだよ」

「んん?」

「バスケのプロの試合を観に行くと言ったのだよ」

「何故に?」

私は至極まともな表情でそう口にした。
緑間君は器用に片眉を上げて、すぐに答える。

「この間、が見たいと言った超神秘エジプト展に付き合ってやっただろ」

「そうだね、うん」

「こちらの要求ものむのは当然の理だと思うのだよ」

言い切った緑間君に私の回答は…そうYESしか残っていなかった。

(そこを持ち出されたら…頷かざる負えないわ)

「OK分かった。ルールはさっぱりだけど…プロの超次元バスケットを見に行くよ」

「待つのだよ…そもそもバスケットであって超次元バスケットなるものでは無いのだよ」

「え?違うの…だって…試合中に人が消えるやら、人の技をトレースするやら…無我の境地的なモノに入るやら…緑間君だって跳弾同型シュートとか技もちじゃん」

「確かに少しおかしい奴らは居るが…基本バスケットのプレーにあることをしているだけなのだよ。俺のシュートに関してもプロ選手だって平気にハーフラインより後ろで平然とシュートを決める…」

「成程…」

「兎も角、がどうしてそう思ったか不明だが…プロの試合を見ればバスケットとはどういったものか理解できるはずなのだよ」

大きな溜息を吐きながら、緑間君はそういった。

「そうそう、今回行くバスケットの試合会場にはスタジアムグルメが充実しているから、バスケス初心者のでも楽しめるはずなのだよ」

そう駄目押しの一言によって、私は緑間君とプロバスケットボールの試合に観に行くことのなったのである。


つづく


2018.7.18. From:Koumi Sunohara
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