お使いへ行こう
ある晴れた、休日の午前。
伊月とは街に居た。
パッと見て爽やかな高校生の恋人が街で買い物をしていりように見える二人である。
まぁ、蓋を開ければ違うのだけど。
そんな二人はこんな会話をしながら歩いていた。
「伊月君。平凡で平和が一番いいよね」
「ん?普通が一番だよ」
「そうだよね」
そうが口にしてから一拍置いて、疲れた様にため息を一つ吐く。
「、何か気になる事でもあった?」
「あるけど、聞いたら伊月君が困ると思うけど」
「聞くぐらいしか多分出来ないだろうし、とりあえず言ってみて」
伊月はそう口にして、に言葉を促した。は少し眉を寄せつつ重い口を開いた。
「何で買い出しで大量のプロテインとサプリメントを買いに行くのかな?」
「カ…カントクだからじゃないかな?」
の問いに伊月は、背中に薄ら寒い何かを感じながら答える。
「そっか…。伊月君、伊月君って何部だったかな?」
「バスケ部です」
「そうだよね。バスケ部だよね。じゃー何故カゴ一杯のプロテイン必要なのかな?ボディービルダーでも始めるの?」
「いやいやいや…始めないよ。バスケ部だよ間違い無いって」
「そうだよね。コレ発注ミスばりの尋常じゃない量に感じるのは…私が運動しない所為かな?」
は伊月の持っているカゴとその中のプロテインとビタミン系サプリメントを指差してそう力無く言葉を紡いだ。
「が疑惑に満ちた目で見るのは仕方がないけど、カントクが渡したメモに違いないから多分大丈夫だと思うよ」
「そ…そうだよね。何か意味があっての事だよね」
伊月の言葉には何とか納得しようとして言葉を紡ぐ。
「きっとそうだよ。あまり考え過ぎない方が良いよ」
「確かにそうなんだけど…流石にコレは心配になるというかね」
「まぁ…確かに」
「健康食品とかサプリメントと言っても使用量とか適正量があるしね。まぁスポーツジムの娘さんだから愚問なんだろうけど」
「うん。多分」
「あっ…でも、そっか」
「えっ…どうさたの」
「スポーツジムなら、きっとジム分なのかな?って思ったら納得したの」
晴々とした表情ではそう言うと、伊月はコッソリ(多分違うと思う)と思う。
「大量に買って後からジムから仕入れると思えばギリギリ納得出来ると思ったんだ。部費は限りある資源だし」
「そうだね」
の言葉に無理矢理納得しながら伊月は相槌を返す。
「よし。何となく納得したし、サクサク買い物終わらせますか伊月君」
「別に急がなくても良いよ」
「ん?だって少しでも早く買い物済ませれたら、伊月君が身体を休める時間増えるでしょ」
「」
「詳しくは分からないけど、リコさんのメニュー大変だしさ、PGって頭使うし大変なんだから休息大切でしょ」
「そういう気遣いしてくれるのはぐらいだよ有難う」
「そうかな?普通だと思うけど」
きょとんとした顔ではそう口にする。
伊月は微笑まし気にを見つめながら言葉を紡ぐ。
「気遣いは嬉しいけど気分転換も必要だから、さえ良ければ買い物終わった後に何処か寄り道したいんだけど良いかな?」
「伊月君が大丈夫なら、私は問題無いよ」
「そっか、じゃ予定も決まった事だし早くカントクのお使いを終わらせようか」
「そうだね」
そんな会話をしながら、伊月とはお使いと休日の一時を過ごしたのであった。
後に…この時サプリメントの大量購入が夏と秋に悲劇を生む一因になるとは、も伊月も知るよしもない。
おわし
2013.11.2.(WEB拍手掲載:2013.10.1.) FROM:Koumi Sunohara