職業病と休日と… |
TVでも何処も彼処もWカップの話で持ちきり。
Wカップイヤーだとかと、世間ではこの年を楽しみにしている風潮は元々有って。
日本と韓国の共同開催の為か日本の盛り上がりは割と大きい。
電光掲示板には、Wカップまで後〜日と表示され、始まれば始まったで…今日のWカップとか号外や中継。
サッカーに興味のなさそうな人々ですら、Wカップに浮き足立っているようで…。
街の至る所にもWカップの関連したモノで溢れかえっていた。
大して興味の無い人々ですらこんな感じ。
経済効果が期待できるのでは無いか?等と世の大人達は言うけれど…世の中そんなに甘くないわけで…グッツ関連企業が潰れたりと…暗い話題も有るけれど。
三度の飯よりサッカーが好きな人たちにしてみれば、Wカップ期間は嬉しくて仕方がない。
彼の場合は3度の飯よりサッカーと焼きそばが好きなのだが…。
Wカップ開催に伴い、Jリーグは少しばかりお休み。
普段多忙なJリーガーにとって…それはしばししの戦士の休息期間。
その間練習とかはある訳だけど…。
珍しいコトに周防は新聞に目を向けていた。
滅多に活字を見ようとしない彼氏様に、彼女であるは不思議なモノを見るような目で周防を観察していた。
(コレって…新聞よね。将大が活字読むなんて珍しいな…何か面白いモノでも書いてあるのかな?)
新聞を何時になく真剣に見つめる周防をはそんな風に思いながら見る。
(ん〜気になるなぁ〜聞いて見た方が早いかもしれないよね〜…でも珍しく真剣に活字を読んでるのを邪魔したら悪いかしら?)
は心の中で聞くか否か葛藤を繰り広げる。
(…うっ…やっぱり気になるかもしれない)
苦笑を浮かべながら興味に負けたが、周防に尋ねる。
「将大…何を見ているの?」
「ん?Wカップに出る日本代表メンバーが新聞に載っていたから見てただけだぜ」
「ふ〜ん。でもさ…それ大分前にTVでやっていたよね。それに、もうすぐ日本戦が始まるじゃない?今更ぽい気するだけど」
(ああ成る程サッカーか。将大サッカー好きだから…そのくらいの記事だったら読むよねきっと)
は周防が見ている新聞に目を少しだけ向けて、不思議そうに口を開いた。
「そうだけどさ。何か目の前に書いていると見たくなんね〜か?」
の質問に周防は頬をポリポリと掻きながら、そう口にした。
「ん〜興味が有るものだったら…見るかもしれないけど…」
ちょっと小首を傾げながら、は周防の言葉にそう短く帰す。
「だろ♪」
嬉々として周防はを見てそう短く返す。
(本当にサッカーが関わると楽しそう)
そんな周防を見ては微笑ましそうに、優しい瞳で周防を見る。
「将大…中山選手選ばれて良かったね」
「へ?」
“唐突に何だ?”って顔で周防はを見るが、すぐに先の代表メンバーのコトを思いだして(ああ成る程)と心の中で一人納得した。
「中山選手のファンでしょ将大」
周防の見ていた新聞を指さしながら、笑顔ではそうに同意を求める。
「そうそう♪中山選手がさぁ〜土壇場で選ばれて滅茶苦茶嬉しいんだよ。」
の同意を求める言葉に本当に嬉しそうに周防は答える。
「選ばれなかったら、トルシエに殴り込みにでも行こうかと(笑)思ったぐらいだったからな〜マジで嬉しいんだぜ」
「本当に好きな選手選ばれ無いと、言葉悪くなるよね将大わ。前何て、カズが選ばれなかった事に腹立てて焼きそばを焼け食いしてお腹壊してたもんね」
周防の力説に、クスクスと笑いを漏らしながらは答える。
「何時の話だよソレ〜。まぁ〜三浦選手が選ばれなかった時は凄く腹立ったけどさ…」
「ふふふそう言うコトにしときましょうか」
は楽しげに鈴を転がすように笑ってそう言う。
だが不意にある一つの疑念が頭をよぎった。
(将大は…自分が選ばれなくて…ショックじゃないのかしら?)
しばらく一人で聞くか否か悩んでいただったが、興味に勝てず…重々しく口を開く。
「あのね聞きにくいことなんだけど」
「何だよ。何でも言えよ遠慮はむようだろ」
「じゃ〜言うね。普通はさ、自分が選ばれなかったら結構ショックだったりしないの?将大てプロ選手なんだし」
「ショックじゃないって言ったら嘘になるけどよ…それでも俺は尊敬してる選手が選ばれれば嬉しいし…選ばれた奴等が頑張ってWカップで活躍してるのを見て…勉強にもなると俺は思う」
“さしずめ、内助の功って奴”茶目っ気たっぷり周防はに言う。
「それって…女の人に対する言葉ぽくない?あと守護神やってる人間が言うんじゃないの将大?」
クスクスとは笑って周防を見る。
「良いんだよ。ムードメーカーだって立派な守護神みたいなもんじゃねーか」
「ちょっと違う気がするけど…ムードメーカーは大切な存在だよね」
「だろ」
しばらく日本代表の話をしていたが、ふいには心配げに眉を寄せて周防を見てきた。
「どうしたそんな顔して」
そんなを周防も心配げに尋ねる。
「ねぇ〜将大、日本頑張れるかな?」
「ん?」
ふいに紡ぎ出してきたの言葉に周防は(ああ、成る程な)と気がついた。
は自分が主語を言っていなかった事に気がついて、はっとして言葉を紡ぎ出す。
「だって…日本の初戦ベルギーだって言うし…ちょっと不安になちゃったから」
シュンとした表情で言葉を紡ぎ出すを、周防は微笑ましそうに見つめて、の髪をクシャっとする。
「日本一のムードメーカーが応援してるんだから頑張るに決まってるんじゃねーか」
自信満々に周防は言葉を紡ぐ。
その言葉にに笑顔が戻る。
「そうだね。でも今度は将大が出てる試合見たいな私…頑張ってくれる?」
「当然…次はアノ場所でプレーしては側で応援するんだ。これはもう決まってることなんだからな」
「うん。楽しみに待ってるね」
「おう、任せろって」
照れくさそう笑いながら笑顔でに言い切る周防。
そんな周防を満足そうに見つめてから、は台所に向かって歩き出す。
「さて、ご飯食べよう。将大の好きな焼きそばが冷めない内にね」
「勿論ソース焼きそばだよな」
念押しするように周防がに言う。
「ちゃんと、将大の好きなソースにしてるよ」
焼きそばの入った皿を周防の前に出して、は笑顔で言った。
「んじゃ〜食いますか。腹が減っては応援できねーからさ」
「それを言うなら、戦でしょ。もう将大ったら…でも将大らしくて良いけど」
周防に聞こえないように、はボソリと人知れず呟く。
「何か言ったか?」
「うんうん、別に。コレ食べて、皆を応援しようね」
Wカップ観戦まで、ゆったりと戦士の休息は過ぎていくのであった。
END
2002.6.4 改訂版→2003.11.18 From:koumi sunohara
★後書きと言う名の言訳★ このドリームは、当サイトにネタとか感想を良く頂く、美龍さんからWカップにちなんで笛キャラとWカップ期間を家で過ごすドリーム何てどうでしょう?というネタ提供より発動させた企画ドリームです。 と言う訳で、第1弾は周防さんなんですけどね。 プロ選手だから、Wカップに出すって言うのも考えたんですけど…(何せドリームですしね)結局TV観戦1歩手前で落ち着きました。 何か戦士の休息って感じでね。 でも周防さんて、休みの日でも頭の中はサッカーばっかりな気がしたんでこうなちゃいました。 しかもなごみ系を意識したんですが…終わり方謎ですね。 |