味 好 み 

武蔵森キャプテン渋沢克郎の料理を、不味いと言う人間は、一体何人いるだろうか?
尋ねたくなる程、渋沢の料理を非難するモノは…俺の知りうる限り1人しかいない。
非難や不味いと言うのは、不適切かもしれない。
そいつは、ただ「ひと味、足りない〜」と言っただけだからな。
そいつの名は、『 』。
桜上水の2年、容姿、頭脳、運動神経は、平均を上回っているし、“クラシャー”と呼ばれる俺と普通に話す、ちなみに俺と同じクラスであり、俺の彼女だ。
何時も、俺に新たなる疑問を与える存在でもある。


昼休み、いつものようにご昼飯を食べている、時に疑問は起きた。

…その食べ物は何なのだ…?」

俺が思わず尋ねたくなる程、 の食べていたモノは変わっていた。

「へ?チャーハンだけど…不破君も食べる?」

スプーンに、“自称チャーハン”と呼ばれているモノをのせて、俺の方に向ける。

「…何故、チャーハンに『苺と生クリーム』がのっているのだ?」

スプーンを、“しげしげ”と見つめながら俺は に再度尋ねた。

「え?入れるでしょ!!」

自信満々に は、俺に言い切る。

(一般的に、入れないと思うが…)

俺は、取り合えず“自称チャーハン”を口に運んだ。
もしかしたら、以外に美味しいかもしれないと思ったからだ。

「ね、美味しいでしょ?」

何度も、遠くから聞こえる の声。
実に、嬉しそうだった。
俺の意識は、“自称チャーハン”によって飛んでいたようだ。
思考停止30秒。

「俺の味覚では、美味しいとは思えないだが…」

思考停止していた、俺は何とか結論を絞り出した。

「う〜ん、好みは色々だからね〜」

は、気分を害す様子もなく返す。

「でも、皆“うげ”て言うのよね〜、失礼しちゃうと思わない?」

「確かに失礼かもな…」

好みは、色々だからな。
そして、俺は少し考えて呟くように言った。

、俺はお前の味覚について興味を持った…」

「それで?」

「少しの間、協力して欲しいのだが?」

は、快く引き受けた。



「協力するのは、良いけどココに来てどうするの?」

少し、困惑気味に俺を見る
それもそうだろう、「美味しいモノを、食べに行く」と言ったのだから、困惑するのは無理もない。

「だから、ココに美味しいモノが有るからだ」

「うーん、不破が言うだから有るんだろくけど…」

俺は、目的の場所に行く。
そこには、料理が旨いと言う定評のある者がいるからだ。
武蔵森キャプテン渋沢克郎が…。

「不破待っていたよ」

前もって頼んでいた渋沢が、料理を持って現れた。
俺は、 にそれを勧める。
無言で、食

「どうかな?」

渋沢が、 に尋ねる。

「…」

無言になる

「不味かったかな?」

答えない、 に不安げに尋ねる渋沢。

「不味くは、ないです。むしろ、美味しいです。でも…ひと味」

「でも?」

少し、安心した渋沢が反復して尋ねる。
俺も、興味深げに を見る。

「納豆とか、ジャムのせた方が、私はもっと好きです」

“サラリ”と言い切る、
少し固まる渋沢。

「成る程、好みは色々だからな…(マ○ラシンさんみたいだな〜)」

少し、意識が飛びそうになっているようだ。
周りの連中は、意識すら保っていないのだから、やはり渋沢は凄い。
感心する俺。

、ちゃんと味覚は有るようだな」

俺が、感心した口調で言うと、目を見開いた。

(怒らせたか?)

ただ、驚いただけで、怒った様子はない。
安心する俺に、飄々とした口調の

「まー、一般的な味覚は有るよ、でもそれじゃ〜物足りないって思うだけ」

その言葉に、やはりこう思う。

「やはり は、興味深いな」

当たり前でしょ?て顔で俺を見る。

「フフフフ不破も、興味深いけどね」

クスクス笑う

「安心してよ、ちゃんと不破のは、普通に作るから」

「ああ」
取り合えず、疑問は解決した。


しかしどうも、俺は と居るようになってから疑問ばかりが増える。
そして、俺はまた疑問に思う。

「ゲテモノ料理とかは、食べれるのだろうか?」等と。


END

From:koumi sunohara  2001.4.10



☆言い訳☆
藤井さんが出てた某番組の、何でもカレーかけるキャラクターを見てて、思いついた話。
ドリームか?と聞かれるぐらい怪しいものです。
でも、食については好みは、色々だと思うのですよ、私は。
何せ私も、変な食べ物割と好きですから。
(例えば→柿の種チョレート…普通だと、思うのですが、変だと言われます)


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